フレデリクセン党首はトランプ大統領による同国の自治領グリーンランドの領有権について、断固たる姿勢を取り、支持率を伸ばすと思われたが、有権者は国内経済や社会福祉、移民政策への関心の方が高かった。
ポルトガルで実施された26年2月8日の大統領選挙では、中道左派の社会党の元書記長アントニオ・セグーロ氏が66.83%という史上2番目に高い得票率で、極右政党シェーガの党首アンドレ・ベントゥーラ氏(33.17%)に2倍以上の大差をつけて当選した。
一方、与党・社会民主党(PSD)の候補は5位と低迷した。セグーロ氏は社会党の公認を得ず、党のしがらみのない独立候補として中道層の結集を呼びかけて当選した。首相が政権を率いるポルトガルで、右派現政権のブレーキ役としての大統領が誕生した。
「中道主義のわな」
しかし、戦後経済成長の礎石と言われた福祉国家構築の原動力だった社会民主主義は今、少子高齢化、高負担、高福祉の福祉国家モデルの崩壊を招いたことで、危機に瀕している。加えて、東西冷戦終結と続くグローバリゼーションでイデオロギー離れが起き、社会民主主義者も個人の自由と市場経済へのコミットメントを明確に表明する必要に迫られている。
2010年にイギリスの保守党と自由民主党の間で連立政権を組んだように、国家の役割に関する社会民主主義者と自由主義者の間の政治的統一の葛藤を生んだ。フランスでは中道主義が政権を担うようになった。
フランスの中道左派の社会党は弱体化し、地方選挙ではパリ、リヨン、マルセイユで社会党は勢力を保ったものの、多くの地方都市では極右が台頭している。極右・国民連合の当選者は「今はイデオロギーより生活優先だ」と断言する。
欧州政治の専門家は、ドイツの元首相で社会民主党(SPD)のオラフ・ショルツ党首は、2021年から25年まで緑の党と自由民主党との連立政権を運営した際に「中道主義のわなにはまった」とされ、気候危機やドイツ産業の競争力といった主要な問題で妥協点を見出すことができなかったと指摘された。
さらにイギリスのキア・スターマー首相は、生活費高騰や福祉国家の衰退に直面する有権者の不満を増幅する「非効率的な中道主義」を採用することで、同様の過ちを犯していると非難された。
社会保障予算が逼迫する大きな政府、バラマキ財政で経済危機を乗り切る特効薬を持ち合わせていない社会民主主義政党は、トランプ氏の登場でさらに危機的状況に追い込まれている。
関税攻撃に加え、イラン攻撃で危機に瀕するホルムズ海峡の安全に関与しようとしない欧州諸国およびNATOに強い不満を爆発させるトランプ氏に対して、欧州の中道左派勢力は、明らかにMAGAに正面から反対する力を持っていない。
次ページが続きます:
【ポピュリズムはさらに広がる?】
