東洋経済オンラインとは
ビジネス

ホルムズ危機でも日本漁船が「ムダな燃料」を使い続ける構造的理由

7分で読める
北海道の漁港
北海道の漁港(写真:筆者提供)
  • 片野 歩 Fisk Japan CEO/東京海洋大学 特任教授

INDEX

中東で戦争が起きて、ホルムズ海峡が事実上閉鎖されてしまい、燃油価格が高騰しています。危機的な状況ですが、これまでも幾度となく燃油代が高騰して社会に悪影響を及ぼすことがありました。

漁業においても、燃油代は収支に大きな影響を与えます。しかし、それはわが国に限ったことではありません。日本の漁業と北欧などの漁業を比べてみると、日本の場合、多くの無駄な燃料消費があります。

科学的根拠に基づく資源管理を徹底すると燃料費が下がるうえ、鮮度が良くなり、魚の価値も上がります。残念ながら、日本ではその逆のことが起きて苦しんでいます。

無駄な燃料費と資源の浪費

日本の沖合漁業などでは、魚が獲れた漁場や、そこで獲れた数量、サイズを公開しないのが一般的です。各漁船ごとの漁獲枠を決めて管理する「個別割当制度」による数量管理が行われていなかったり、枠が配分されていても大きすぎたりする場合、せっかく見つけた漁業情報を共有しようとはしません。

仮に漁業情報を共有し、他の漁船も同じ漁場に直行してくれば、水揚げ量が一度に増え、魚価が下がってしまいます。現状の制度下で、価値の高い魚が多く獲れる漁場を漁業者同士がオープンにしないのは、ごく当たり前のことです。

北海道の漁港(写真:筆者提供)

日本の漁船は魚を探すために、あちこち探索して大量の燃料を消費していきます。一方で、水揚げ地から「一直線」に魚がいる漁場へ向かう場合はどうでしょうか。ジグザグと広範囲の漁場を探索する場合との燃料消費量の差は大きく異なることは、容易に想像できるかと思います。

次ページが続きます:
【燃油が高騰しても無駄な燃料の浪費が続く理由】

2/4 PAGES
3/4 PAGES
4/4 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ビジネス

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象