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ホルムズ危機でも日本漁船が「ムダな燃料」を使い続ける構造的理由

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北海道の漁港
北海道の漁港(写真:筆者提供)
  • 片野 歩 Fisk Japan CEO/東京海洋大学 特任教授
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これに対し、例えばノルウェー漁業の場合は、サバ・ニシンをはじめ、どこで何トン、どのくらいの大きさの魚が獲れたかがわかる正確な情報を共有しています。サバで言えば、漁場はもちろんのこと、申告内容と実際の水揚げとでは、平均重量は10グラムも違いません。

ノルウェーの場合、割り当てられる個別割当の数量は、実際に漁獲できる数量よりもかなり少ない配分です。これは資源の持続性を考慮しているためです。漁業者は、漁獲枠通りに水揚げできるのは「当たり前」なので、いかにして水揚げ金額を上げるかを重視しています。漁に出ないとどれだけ獲れるかわからないといった漁ではないのです。

そこで漁業に余裕が生じ、いかに価値がある魚を漁獲するかが、漁業者の共通の課題となっています。

魚の価値は、一般的に大きいほど高いので、実際より小さいサイズで申告してしまった場合は、信頼問題となります。また、この漁船のサイズ申告が信頼できないとなれば、高い価格で入札するバイヤーはいなくなってしまいます。

北欧での個別割当制度は、価値がある魚が獲れる漁場に漁船が一直線に向かえるので、燃料の無駄が減らせるのです。日本でも同じようにすれば、燃料が減らせます。しかし、配分された漁獲枠が大きすぎたり、そもそも漁獲枠が設定されていなかったりすれば、燃油が高騰しても無駄な燃料の浪費が続いてしまいます。

水揚げ分散で品質向上

カラフトシシャモ(写真:筆者提供)

漁場が共有されていると、メリットは燃料費節約だけではありません。個別割当制度が機能していると、漁業者や漁船は水揚げを分散して、大漁貧乏を避け、水揚げ金額を上げようとします。

水揚げの分散は別のメリットも生みます。鮮度面での品質向上です。加工場の処理能力を超える量の魚が一度に水揚げされると、処理が追いつかず、魚は処理待ちの間に鮮度が落ちていきます。このため、食用だったはずの魚が、養殖のエサやフィッシュミール・フィッシュオイル向けになってしまうことが日本ではよくあります。

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【水産業が成長産業になると燃費も良くなる】

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