大切な人からご自身の希望を聞くことができれば、「そのとき」が来た際に、ご家族は医療者と話がしやすくなります。
「あの人ならどうしたか」と考えよう
けれど、患者さんの状態があれよあれよという間に悪くなってしまい、あっという間に意識不明になってしまった……ということもあるはずです。
そんなときは医師が、あなたやご家族に「延命処置をするか、それとも緩和ケアだけにするか、あるいは何もしないか──今すぐ決めてください」と決断を迫ります。
いきなり決定権を渡されたあなたは、おそらく戸惑うでしょう。
こんなふうに聞かれると、大切な人の命綱を握らされているような気がして、決めるのが怖くなってしまう方もいるのではないでしょうか。
「そんな大切なことを、本人じゃなくて私が決めてしまっていいの?」と、ものすごく悩むのではないかと思います。
ですから私は、ご家族が悩みすぎないよう、次のように聞くことにしています。
「この場合、患者さんだったら、どうすることを望んだと思いますか? 延命処置を希望したでしょうか? それとも自然な形を望んでいたでしょうか?」
つまり、あなたやご家族がどうしたいかではなく、ご本人ならどんな選択をしたかをイメージしてもらうのです。
すると、「元気なときのお父さんなら、きっと最後まで闘ったと思う」とか、「お母さんなら、自然な最後を望むと思うけど、痛みはとってほしいって言ったはず」とか、最後のケアに対する決断がしやすくなります。
いざ大切な人が危篤となると見送る側はパニックになって、つい、「自分は」どんな選択をすべきかという視点で考え始め、答えが出せなくなってしまいます。
そんなときは「大切な人なら、どんな選択をしたか」という視点で考えればいい。
そのことを思い出してください。

