このタイミングで無理に点滴や栄養チューブで補充しても、身体はそれを利用できないどころか、うまく処理することもできず、結果として、臓器や皮下組織に水が溜まって、全身が浮腫み、余計に苦しくなります。
だから、ご本人のために、余分な点滴はしないことをお勧めします。
大切な人は、どんな最期を望むのか?
ちなみにこのとき、多くのご家族が、ある問題で悩むことになります。
何を悩むのかというと、「治療することをあきらめて、苦痛をやわらげるだけの緩和ケアに踏み切っていいのか?」ということです。
患者さんの大半は、その方の意思──ギリギリまで治療することを望むのか?
そうではなく、最後は苦痛の緩和だけでいいのか?──を明らかにする前に、意識が混濁したり、認知症を発症したりします。
そのためご家族は、大切な人が危篤に陥ったタイミングで「本人の希望がわからない」と悩むことになるわけです。
だからこそ、「残された時間が限られている」と知ったときに、大切な人が最後はどのような対応を望むのかについて、まだご本人が元気なときに、一緒に話し合っておけるといいですね。
「最後はあまり余計なことはしないでほしい。自然でいい」
「とにかく痛いのは嫌。痛み止めはどんどん使って」
「最後の瞬間まで闘いたい。できることはなんでもやってほしい」
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【延命処置か、緩和ケアか…判断するときに重要な視点】
