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キッコーマンがインドに「中華料理協会」を立ち上げた深い理由、インドの食文化でいったい何が起きているのか

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キッコーマンはインド中華カテゴリーでのPR強化をはかる(写真:キッコーマン提供)
  • 本田 哲也 本田事務所代表取締役、PRストラテジスト

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日本を代表する調味料メーカー、キッコーマン。同社が2025年、インドで「中華料理」の団体を設立したと聞けば、多くの人は首をかしげるのではないだろうか。日本の食品会社が、インドで、中華料理を売り込むというのだから、いかにも不自然にみえる。世界的な日本食ブームの中、寿司や刺身に欠かせない醤油の会社なら「日本食協会」を立ち上げる方がよほど自然だ。

しかし、この一見奇妙な一手の裏には、グローバル市場で勝ち抜くための極めて戦略的な思考が隠されている。「自社の商品を正しく売る」のではなく、「現地で最大の機会をつかむ」。この発想の転換こそが、今の日本企業に最も必要な視座ではないだろうか。

インドに誕生した「キッコーマン中華料理協会」

キッコーマンが設立した団体は「Kikkoman Centre for Chinese Cuisine(KCC)」。2025年11月に正式発表した。ビジョンは「本場中華とグローバルに展開される様々な中華に学び、インドにおける中華料理の発展に寄与する」というもの。情報発信と啓発、人材の発掘・育成、そしてインドにおける中華料理の品質向上を三本柱に据える。

インドを代表するシェフやレストランオーナーが発起人に名を連ねる(写真:キッコーマン提供)

発起人にはキッコーマン国際事業本部長の茂木修氏に加え、インド料理連盟会長のマンジット・ギル氏、コルカタの名店「Eau Chew」のジョエル・ファン氏、デリーの人気チェーン「Berco's」を率いるカビール・アドワニ氏ら、現地を代表するシェフやオーナーたちが名を連ねた。

26年2月にはインド各地から業界関係者を招いて開催されたイベントの中で、KCCがお披露目された。活動は徐々に始動している。日本人の著名な中華料理シェフによる調理技術の動画配信も開始され、シェフ向けワークショップの定期開催や次世代料理人を発掘するコンペティションなど、今後予定される活動は多岐にわたる。

インドには、中華料理の研鑽を目的とした団体組織がこれまで存在しなかった。KCCはその空白を埋め、インドの食文化の未来に一石を投じようとしている。

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【「インド中華」という知られざる巨大市場】

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