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『金子みすゞ童謡全集6 さみしい王女・下』矢崎節夫 監修/JULA出版局
なぜ、心が躍らず、さみしいのか?
定年などで仕事を終えるとき、これまでの自分の仕事をふりかえってみて、人はどういう感慨を抱くのだろうか。達成感をおぼえるだろうか? それとも、むなしさを感じるだろうか?
金子みすゞは、亡くなる前年に、それまで自分が書いてきた童謡をまとめた3冊の詩集を、自らの手書きで作る。その「巻末手記」も、ひとつの詩になっている。
──できました、
できました、
かわいい詩集ができました。
と始まる。しかし、こう続く。
我(われ)とわが身に訓(おし)うれど、
心おどらず
さみしさよ。
なぜ、心が躍らず、さみしいのか? 金子みすゞは明治36年に山口県で生まれ、20歳の頃から童謡を書くようになる。当時、芸術性豊かな童謡を作ろうという活動が盛んで、鈴木三重吉が創刊した『赤い鳥』に続いて『金の船』『童話』など、いろんな児童雑誌が誕生した。
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【仕事も趣味も禁じる夫】
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