「薄くなってきた」…相談しにくい"女性の薄毛"の悩み、40・50代の「抜け毛が増えた」「ボリュームが落ちた」は早期対応が大切
では「体という工場」の機能を左右する最大の要因は何か。薄毛に悩む女性に多い40〜50代という世代は、女性ホルモンが急降下する更年期と重なります。その減少は自律神経のバランスの乱れにもつながりやすく、影響は髪にも及びます。
「更年期はスマートフォンのバッテリーがあっという間に減るような状態に似ています。最大容量が下がっているのに、それに気づかず若い頃と同じようにフル稼働してしまう。
つまり私たちは自身の体に対して、無神経に “やらかしてしまっている”んです。体はエネルギーを使いたい機能に優先的に回しますから、大量のエネルギーを必要とする髪の成長は後回しになってしまいます」
冷え、睡眠不足、仕事や家事のプレッシャー、精神的なストレス。そうした日常の何気ない負担が重なるだけで毛髪サイクルは乱れ、髪に影響します。
薄毛は「毛」だけの問題ではなく、体全体のコンディションの表れ。だからこそ薬では根本治療にならない。誰もがうすうす気づいていながら「習慣は変えられない」と避けてきた点に、改めてフォーカスしたのです。
2つめの課題「見えない薄毛」を可視化する評価法
もう1つの課題である評価法にも、金子医師は臨床医である強みを生かして取り組んできました。
「薄毛が気になる」と受診しても医師には「正常範囲」に見える、という背景には、地肌の見え方で評価する女性型脱毛症の分類法(ルードヴィヒ分類・シンクレア分類など)に限界を感じたからだといいます。
これらは脱毛が進んだ段階を評価するには有効ですが、「抜け毛が増えた気がする」「なんとなくボリュームが落ちた」という早期段階では、明らかな密度の低下が見られないとして、事実上、評価の対象外になってしまうのです。
「一見、薄毛に見えない女性たちがいます。本人は確かに変化を感じているけれど、既存の評価法ではその段階を捉えられないため、医師は『大丈夫』と言うし、本人は納得できないまま帰ることになります。この段階で対策すれば十分に回復する可能性が高いのに、ここで機会を損失してしまうのはとてももったいないことなんです」
この「見えない薄毛」の問題を解決するために金子医師が着目したのが、地肌の見え方ではなく、髪の表面反射光、いわゆる"天使の輪"です。髪にボリュームがあると、分け目を囲むU字の光がくっきりと見えますが、ボリュームが減り、密度が低下するとギザギザにぼやけて消えてしまう。
その違いを画像で捉え、5段階のグレードに分類する新たな評価法を確立しました。2018年には国際毛髪学会誌『International Journal of Trichology』に論文発表し、国際的な評価も得ています。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら