ジャンルは異なるが焼肉きんぐもそうだ。同チェーンは、26年2月に駅直結型の店舗を初めて出店。焼肉きんぐといえば、焼肉の食べ放題が有名で、家族で郊外にある店に行く……というのがおなじみだったが、そうではない店が誕生した。
これ以外にも、ファミレスのデニーズや、回転寿司の銚子丸などが25年〜26年に都心型店舗を新規出店している。この流れを報じるテレビや記事などもあり、一つの流行となっているのは指摘できるだろう。
いまだ根強い「鉄道」需要
こうした背景には何があるだろうか。
東京科学大学の柳瀬博一が指摘するように、戦後において、交通手段から見た消費形態には、2つのタイプがある。1つは、鉄道路線を中心として、駅前に商業施設が立地するタイプの「鉄道資本主義」である。この場合、商業施設はもっぱら百貨店となる。週末にみんなでターミナル駅に行って百貨店で買い物をする……といったイメージだ。
2つ目は、自動車を中心として郊外に商業地が集積する「シン・街道資本主義」(ちなみに「シン」となっているのは、近代以前はそもそも街道沿いが流通の中心になっていたからだ)である。ロードサイドにショッピングモールや大型量販店が立地し、週末には家族でドライブがてらそこへ行く……というのが、この消費形態のイメージだ。
「鉄道資本主義」は、東西の鉄道会社が主体となってターミナル駅の開発を進めた結果、1960年代の高度成長期の日本を支えることになった。これをお読みの方でも、幼少期にターミナル駅の百貨店に家族で行った思い出を持つ方がいらっしゃるだろう。ただ、百貨店の苦境が象徴するように、現代では鉄道資本主義は薄れつつあり、郊外に大型商業施設が誕生し、「シン・街道資本主義」へと変化している。
ちなみに、こんなことを言うと「じゃあ、都心一極集中と言われている状況と整合性が取れないではないか。都心一極集中なら鉄道資本主義のほうが栄えるのでは?」と思われるかもしれない。ただ、政府の資料をよく見ると人口が増加しているのは、「東京」ではなく「東京圏」という、東京西部や千葉・神奈川・埼玉までをも含んだ地域で、そもそも都心集中とは「都心とその郊外一極集中」である。
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【「自動車でロードサイドに行く」スタイルが定着している時代】
