JR東海リニア「静岡県と対話完了」長かった道のり 年内着工へ大きく前進、クリアすべき「諸条件」も
2つ目の対話項目は生物への影響を予測し、工事によって損なわれる環境の量と質を評価したうえでの環境保全措置についてである。JR東海は、まずは影響の回避・低減措置を実施し、回避・低減が困難でやむをえない場合は、代償措置を実施することでその影響を最小限に抑えるよう努めていくという考えを取る。JR東海は代償措置をネイチャーポジティブ貢献措置と呼び、その考え方や取り組みを説明した。
ネイチャーポジティブとは生物多様性の損失(マイナス)を食い止め、自然を回復(ポジティブ)な状態に転換していくための取り組み。国際的な認知度が高まる中、国内でも2030年までにネイチャーポジティブを達成するという目標が2023年3月に閣議決定された。
「ネイチャーポジティブ」とは何か
話は逸れるが、ネイチャーポジティブという新しい取り組みをJR東海はどのように捉えているのか、今回の記事執筆に際しJR東海に確認してみた。同社によれば、ネイチャーポジティブの取り組みは生物多様性専門部会で初めて出てきたわけではなく、2023年の閣議決定以前から外部の企業や団体と連携しながら生物多様性の保全に取り組んでいたという。
一例としてJR東海が挙げたのが、南アルプスにおけるシカの食害による花畑の消失や土砂流出などの問題。同社は2022年3月に南アルプス食害対策協議会及び長野県と協力し、同協議会が取り組む高山植物の保全活動に必要な経費の一部を支援し、保護面積の拡大に寄与するとともに、社員が防鹿柵の設置作業などに参加しているという。
また、山梨・長野両県にまたがる南アルプスユネスコエコパークを中心とする地域の森林整備の取り組みを支援し、この森林整備の支援を通じて、各県より認証されたCO2吸収量を、身延線並びに飯田線の電車運行によるCO2排出量に充当し、実質的にCO2排出ゼロにて運転する日(ゼロカーボンデー)を設定する取り組みも進めているとしている。
リニアの南アルプストンネル工事が環境に与える影響については、自然環境保全・創出措置、調査研究・利活用推進活動、さらに工事による影響を確認するためのモニタリングも組み合わせることで、損なわれる可能性のある自然環境と同等以上に回復させるための措置を講じるという。


















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