遺伝性乳がんでは、乳がんの危険を高めるBRCA1とBRCA2の2個の遺伝子のどちらかに変異があると、乳がん以外のがんの発症率も高まります。そこには膵臓がんも含まれていて、発症率が3.5~10倍も高くなることがわかっています。
血縁者に患者さんがいなくても膵臓がんになることはありますが、膵臓がんに関しては遺伝的素因をしっかり把握することが欠かせません。そのため、欧米にも日本にも家族性膵がん登録制度が作られています。
家族性膵がんとは、親、子ども、兄弟姉妹のなかに膵臓がんを発症した人が2人以上いる場合を言い、一定の条件にあてはまる人に登録してもらって、早期発見するための検査法や有効な治療法の開発にご協力いただくのが目的です。
一般的な膵臓がんでは、K-ras、p16、p53などの複数の遺伝子に変異が起きることで正常だった細胞ががん化して、次第に増殖が速くて転移しやすい悪性度の高いがんに変化します。多段階発がんですね。
がんになりやすい遺伝的素因を受け継いでいる人は、初めから1~2個の遺伝子に異常が起きているため、がんの発生に向けて階段を少しのぼった状態からスタートすることになります。それだけ警戒する必要があるわけです。
血液型と膵臓がんの関係
そして、これまでに実施された18件の調査を総合的に解析し、2025年に結果が公表された研究から、興味深いことが明らかになりました。
膵臓がんが発生した場合の進行と生存率は、胃がんと同じく血液型によって差があるというのです。この研究には合計9000人以上の患者さんが参加しています。
早期発見できる傾向があるのは、血液型がO型の患者さんでした。それ以外の血液型と比較して、膵臓がんと診断された時点で進行がんだった割合が20%近く低く、その結果、生存期間も明らかに長いようです。
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【1950年代後半から増えている理由】
