教材は幼児期から用意され、文科省発行の手引書によると、幼児期には「幼児の発達段階に応じて自分と相手の体を大切にできるようになっていく」と記載されています。また、小学校高学年の教材では、「自分とほかの人を守るためのルール」や、「自分とほかの人との距離感が守られないときの対応方法」などを学びます。
では、本当の意味での「同意」とは何か。私の息子たちが学んでいる「同意」に関する教育をご紹介したいと思います。
息子たちが通うアメリカ・ボストンのプレスクールでは、2歳児のクラスから「同意」について教えられています。
この年齢で学ぶ「同意」とは、性的な同意でも医療的な同意でもありません。人間関係の中で自分の意思を表明すること、そして相手の意思を尊重することです。
「YES」も「NO」も等しくリスペクト
たとえば、2歳児の教室では、ポットを使って紅茶を淹(い)れて、「一緒にお茶を飲まない?」と友だちを誘ってみるというアクティビティ(学習活動)がありました。
友だちが「イエス」と言えば、一緒にお茶を飲むという経験を共有する。友だちが「ノー」と言った場合は、「仕方がない」と受け入れる。すなわち、「イエス」も「ノー」も、「どちらの答えもリスペクトすること」と教えられているのです。
また、「一緒に遊ぼう」と声をかけられたときも、「遊びたいときもあれば遊びたくないときもあるのが自然だ」と教えられ、声をかけられた子に「一緒に遊びなさい」と指示することもありませんでした。
息子がパズルをしていたときに、男の子がやってきて「一緒にやってもいい?」と聞いたところ、息子が「自分で完成させたいからノー」と返答したことがありました。
その子は近くにいた先生に「一緒にやっていいかと聞いたけど、ノーと言われた」と訴えました。
てっきり先生は息子に「一緒にやらせてあげなさい」と指導するのかと思ったら、その子に対して「聞いたことはえらかったね」と励ましたうえで、「ノーと言われたら仕方がないね。見ているぶんにはいいんじゃないかな」とアドバイス。その子はパズルに手を出すことなく、息子のそばで前のめりになって見ていました。
私は一連の様子を、保育園を見学する中で見て驚きました。先生にこの教えについて尋ねると、「まずは自分がノーと言いたいときにノーと言ってもいいんだという安心感があると、いろいろなイエス・ノーを受け入れられるようになる」と答えてくれました。
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【おもちゃを「貸して」と言われたら?】
