「あのとき、中止にしていれば」高校生ら8名死亡した那須雪崩事故で引率教員が"有罪"に…学校の安全管理に足りないもの
1958年から実施されてきたこの講習会は、高校生の安全を守るための取り組みである。その講習会で悲惨な事故が発生したことから、その運営や危機管理に社会的非難が集まった。
「有罪判決」に学校現場は戸惑いも
事故後、講習会の責任者や引率教員らが業務上過失致死傷罪で起訴されることになった。遺族にとっては、愛する子どもを突然失った悲しみの中で、9年近く判断を待ち続けた裁判でもある。学校教育活動に関わる事故について教員個人の刑事責任が問われることは多くはなく、裁判は教育界からも強い関心を集めた。
26年3月4日、その事件の控訴審判決が下された。2人に執行猶予が付いたものの、有罪判断自体は維持されたことに、教育現場では波紋が広がっている。
一審判決:宇都宮地方裁判所判決 2024(令和6)年5月30日
裁判で争点となったのは、雪崩発生の予見可能性、訓練実施判断の合理性、そして死亡という結果との因果関係であった。弁護側の主張や判決についてそれぞれ見ていこう。
・予見可能性について
弁護側:雪崩を予測困難な自然現象として位置づけ、事故現場で雪崩が発生することを具体的に予見することはできなかった。
検察側:事故前日からの大量の降雪、新雪の堆積状況などから雪崩発生の危険性は十分認識可能であった。
判決:気象条件や積雪の状況を総合的に検討し、登山の指導に当たる教員であれば雪崩の危険を予見することは可能であったと認定した。
・訓練実施判断の合理性について
弁護側:講習会が教育活動として行われており、雪上での歩行訓練は登山という部活動において一般的な内容である。
判決:当日の気象条件や積雪の状況からすれば訓練を中止にするか、より安全な場所に変更するなどの措置を講じるべき注意義務があった。生徒を引率する立場にある教員には、生徒の生命身体を保護する高度の注意義務が課されるとする考え方である。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら