市費で「エース級の正規教員」採用に成功した鎌倉市、今度は「先生の学び」の支援を開始→なぜ《予算の壁》を突破できた?

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鎌倉市教育委員会次長(学びみらい課)の小原聡真氏は、初年度の採用における手応えについて、次のように語り、人材の質の高さに自信をのぞかせる。

「今回採用させていただいた方々は、これまでの勤務校での授業実践や『こういう授業をつくっていきたい』ということを生き生きと楽しそうに話す先生ばかりです。こうした思いと熱意があれば、現場でほかの先生方とも協力して、よい学校をつくってくれると確信しています」

合格者はこの4月から着任しているが、事前に一斉研修は行わず、オンライン懇談会を通じて横のつながりをつくれるよう配慮がなされた。そこには教育長の高橋洋平氏も参加し、現場の写真も用いて実際の教育実践や市の施策を共有しながら、参加者の不安に耳を傾けたという。

この市費負担教員制度は26年度以降も継続される見通しで、小原氏は「採用者の質をどう担保していくかが課題。来年度以降も継続してエース級の教員を集められるようにしていきたい」と、引き続き「質」を重視した採用を推進する構えだ。

「先生の学び応援ファンド」で予算の壁を突破

さらに鎌倉市は、26年4月、新たに「先生の学び応援ファンド」を創設した。この基金は、鎌倉市民の鶴岡達也氏からの1000万円の寄付を原資とする。鶴岡氏は、メルカリ創業期にエンジニアとして参画した経歴を有し、現在はウェルズ代表取締役として市内でインターナショナルプリスクールを運営している。

鶴岡氏と市教育委員会は教育について意見交換を重ねてきたといい、その中で「鎌倉市の『学習者中心の学び』という指針に共感いただき、支援のお声かけをいただいた」と小原氏は話す。

このファンドは「特定目的基金」として5年間の期限付きで設置され、1000万円を徐々に切り崩しながら活用される。その背景には、従来の公立学校の予算制度が抱える構造的な課題を解決する狙いがあった。

小原氏は、行政予算の優先順位について次のように打ち明ける。

「予算がつきやすいのは、ICT端末や校舎の修繕といったハード面、あるいは子どもの安全・安心に直結する部分です。一方、教員の学びや研修といったソフト面は本質的には重要なはずなのですが、費用対効果の説明が難しく、優先順位が低くなりやすいのが実情です」

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