「限界マンション」になるのを防げるか…4月から変わる管理組合の運営
この点について、リクルートSUUMOの池本洋一編集長は説明を加えます。
「本改正は、3月27日に閣議決定された住生活基本計画に盛り込まれた循環型の住宅市場への移行を、マンション分野で具現化するための環境整備(下準備=地ならし)となります。永住を前提とした管理から、適正管理と再生を前提とした循環型のストックモデルへと軸足を移す転換期というわけです」
確かに、居住者本人が望まないのに延命(大規模修繕工事)を繰り返し、住み続けなければならないとしたら、気の毒で仕方ありません。法改正により区分所有という呪縛に縛られなくなったことで、マンション"終活"問題に実効性のある選択肢が加わりました。
「一棟リノベーション」という再生手法が新たに加わる
最後は、建て替え以外の再生手法の紹介です。法改正により、マンションをスケルトン状態にし、既存建物の構造躯体を維持しながら、共用部分とすべての専有部分を一括して更新(一棟リノベーション)できる制度が創設されました。
一棟丸ごとリノベーション自体は決して目新しいわけではありませんが、工事範囲を共用部分とすべての専有部分とし、建物は取り壊さないものの、建て替えと"同様の効果"が得られる工事を前提として制度設計されているのが特徴です。具体的には、柱や梁の耐震補強や段差解消(バリアフリー対応)はもとより、専有部分も従前の位置のままに制限せず、床面積や間取りの変更、仕様や設備関係の改良・補修も伴って、一棟全体をリノベーションします。
最大のメリットは、建て替えるよりコストを抑えられる点でしょう。工期の短縮も望めます。一級建築士でもあるシーアイピーの須藤社長は、「100年とも言われる鉄筋コンクリートの物理的な耐用年数を考えれば、スケルトン状態からのリノベーションは経済合理性があり、老朽マンションの再生に一役買うだろう」と評価します。法改正後は、これまで必要だった「全員の同意」を緩和し、建て替えと同等の多数決で実施可能となります。
限界集落をもじって「限界マンション」と揶揄(やゆ)された言葉が流布しているのは、ご存じのとおりでしょう。共同体としての持続可能性が文字どおり「限界」を迎え、コミュニティーの希薄化や構造体の劣化、設備の陳腐化などによって、管理の機能不全に陥った分譲マンションが各所で散見されるようになりました。
冒頭で述べたように、分譲マンションは「私有財産」であると同時に「社会インフラ」でもあります。身近な居住形態として、すっかり定着しています。マンションストックが多世代で循環・再利用される社会を構築するためにも、管理力の向上と管理体制の強化が欠かせません。SUUMOの池本編集長も、「マンション管理の主体は管理組合です。当事者意識をどれだけ持てるかが肝心」と力説します。
フローからストックへと住生活を取り巻く環境が移行期を迎えた今、マンション管理組合には「終活」=「出口戦略の策定」が欠かせなくなっています。
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