発達に特性のある子だけではなかった…「特別支援教育」は全人類に有効、すべての子が学びやすくなるサポートのヒント
「2つ目は、ルールは先に伝えておくことです。発達に特性のある子は、“空気を読む”ことが苦手なことが多いもの。『片づけが終わったら、イスに座って次に何をするかのお話を待ってください』など、大人にとって当たり前のことでも、きちんと言葉にして伝えることが大切です」
“わかっているはず”という前提を手放すこと。それが、行き違いを減らす第1歩になる。
「3つ目は、『ちゃんと』『きちんと』『ちょっと』のような抽象的な言い方は、なるべく避けることです。『廊下は走りません』のような指示も同じ。『走らないとして、結局どうしたらいいの?』となりがちです。それから、大声を出したりして“怖さ”でコントロールしないこと。叱るときは、①大声を出さない、②具体的に伝える、③どうすればいいかまでセットで伝える、これが大切です」

一時的に行動を止めるのではなく、抽象的な指示を具体的な行動に言い換え、「次にどうすればいいか」が理解できる関わりが求められる。こうした関わりを支えるのが、「視覚支援」という発想だ。
掲示物や時間割は、まずユニバーサルデザインフォントで作るだけでも、見やすさは大きく変わると平熱先生は言う。さらに重要なのが、情報の“絞り込み”だ。
「不必要な情報はなるべく入れず、そのうえで、『一番見てほしいもの』をはっきりさせる工夫を施す。例えば、その掲示だけ赤い画用紙に貼るとか。提出物の締め切りなども、付箋に書いて掲示の上部など目につく場所に貼るとわかりやすいです」
こうした視覚支援は、単なる教材ではなく「環境そのもの」だと平熱先生は言う。言葉による説明の上手さに頼るのではなく、誰が見ても同じように動ける仕組みをつくること。そうした設計が、属人化しない学級経営につながっていく。
「大事なのは、困った行動をゼロにしようとすることではなく、ゼロに向かっていること。そして、『できた!』の質を上げていくこと。そこを大事にしていくと、結果として行動は変わっていきます」
授業中に席を離れてしまっていた子が、まずは5分座っていられるようになる。次に10分、15分と延びていき、やがて1時間の授業を通して参加できるようになる――。
できるか、できないかで見るのではなく、「どうできるようになっているのか」というプロセスを見ること。その積み重ねが、子どもの行動を安定させ、次の成長へとつながっていく。

なぜ「えこひいき」と言われてしまうのか
こうした支援を通常学級で実践する中で、難しい問題がある。「えこひいきではないか」という周囲の受け止めだ。
担任が、発達に特性のある子どもに配慮しその子を評価する。すると、「あの子ばかり褒められている」という声が上がることがある。それが保護者にも伝わり、学級経営への不満につながるケースも少なくない。



















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