発達に特性のある子だけではなかった…「特別支援教育」は全人類に有効、すべての子が学びやすくなるサポートのヒント
「この3つをごちゃ混ぜにしてしまうと、同じところをずっと回り続けることになるんですよね」
実際、教育現場でよく見られる“典型的な失敗パターン”がある。
「ウロウロしてしまう子に『座りなさい』と言うと、座るんですよ。その瞬間、先生は『声かけさえすれば大丈夫』と思ってしまう。でも実際は、『ウロウロする→座りなさい→座る→またウロウロする』を繰り返すだけで、何も解決していないんです」
一見うまくいっているように見えて、実は同じ対応を繰り返しているだけ。問題の“根っこ”には届いていない。では、どうすればいいのか。
「まずは視点を1つずらすことです。今見ている問題の“一個手前”に原因がないかを探る。そこを見ないと、ずっと同じ対応を続けることになるので」
例えば「ウロウロしてしまう子ども」の場合。その“一個手前”には何があるのか。
座っているイスの座り心地が合っていないのかもしれない。やるべき活動の内容が見えず、見通しを持ちにくい環境になっている可能性もある。周囲の音や視覚的な刺激が多く、そもそも集中しにくい環境になっているケースも考えられる。
こうした背景を見ずに、「座りなさい」と行動だけを止めようとすれば、再び同じことが繰り返される。
「“座らせること”がゴールになってしまうとダメなんですよ。なぜ動いてしまうのかを見たうえで、どうすれば動かなくて済むかを考える必要がある。例えば、活動の流れをホワイトボードに書き出して見通しを持たせる。課題を小さく区切って、『まずはここまで』とスモールステップにする。イヤーマフや座席配置の工夫で刺激を減らす――。
こうした環境調整によって、子どもが“座っていられる状態”をつくることが、本来の支援です。子どもを変えようとするよりも、環境を変えるほうが圧倒的に早いし、誰がやっても効果が出やすいんです」
活動の切り替えも同様だ。言葉で促すのではなく、例えばあらかじめタイマーをセットし、「鳴ったら次の活動に移る」と決めておく。そうすると、子どもは先生の声かけではなく、タイマーを合図に動けるようになる。こうした仕組みは、誰が関わっても同じように機能する。
「できた!」の質を上げるための3つの関わり方
教室で見られる「困った行動」は、子ども本人の問題として片づけられがちだ。しかし実際には、「やりにくい環境」がその行動を引き起こしているケースも少なくない。
では、そうした前提に立ったうえで、どのように関わればいいのか。平熱先生は、支援のポイントを3つに整理する。
「1つ目は、その子にとって“ちょうどいい負荷”にすることです。活動の手間や時間を少し減らしたり、途中で『ちょっと楽しいな』『できそうだな』と思える工夫を入れたりする。そうすると、『またやりたい』という気持ちが出てきます」
やり切らせること以上に、「もう一度やりたい」と思える経験を積み重ねることが、次の行動につながっていく。



















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