「いつまでもスマホをやめない子」に親が"絶対言ってはいけない"言葉

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この時期の脳のアンバランスな状態を理解するうえで、ADHDの専門家であるエドワード・ハロウェル博士が用いた「フェラーリのエンジンに、自転車のブレーキ」という比喩が非常に参考になります。

本来、これはADHD特有の脳機能を説明する言葉ですが、発達神経科学の知見により、思春期に差し掛かるすべての子どもの脳内でも、これに近い状態が一時的に発生することが分かっています。

小学5、6年生の脳内は、「フェラーリ級に高性能化したエンジン(急激に高まる情動・衝動)」を、「まだ自転車並みのブレーキ(未発達な前頭前野の制御機能)」で操作しなければならないという、非常に不安定な状態への入り口と考えてください。

車体が加速する力に対して、止まる力が物理的に追いつかなくなってきます。この状態で、親が「もう高学年なんだから、自分で衝動をコントロールしなさい」と突き放すのは、ブレーキの性能が足りない車に乗っているドライバーに「安全運転しろ」と注意するようなものです。

子どもの脳にはまだ十分なブレーキが備わっていないため、親御さんには「外部補助ブレーキ」としてサポートする役目があることを、理解していただく必要があります。

「ダメ!」「やりなさい!」はNG

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ただし、ここで注意点があります。「外部補助ブレーキ」といっても、低学年の頃のように「ダメ!」「やりなさい!」「没収するわよ!」と、命令や強制によって親が直接ブレーキを踏むことではありません。親が代わりにブレーキを踏み続けてしまうと、子ども自身のブレーキ回路(前頭前野)を使う機会が失われ、その機能が育たなくなってしまうからです。

必要なのは、教習所の教官のように助手席に座り、問いかけや環境設定を通じて、子どもが「自分でブレーキを踏む練習」をサポートする「コーチング」的な関わりへの転換です。この時期は、こうした「発達的ミスマッチ」による子育ての悩みが激増しますが、ほとんどの場合、時が来れば解消していきます。

つまり、多くの親御さんが頭を抱える、この「発達的ミスマッチ」によって発生する問題は、子どもの将来にとって本当の問題ではないのです。

井上 顕滋 非認知能力開発の専門家 / Five Keys代表

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いのうえ けんじ / Kenji Inoue

1970年生まれ。心理学・脳科学をベースに、20年以上にわたり子どもから経営者まで「人の可能性を引き出す指導」を行っている。自らも経営者として30年以上の部下育成経験を持ち、心理学と脳科学を融合させた独自の能力開発メソッドを確立。

教育・育成実績:2011年、未来の成功者を育てるため、日本初となる小学生対象の非認知能力開発専門塾「Five Keys」を創設(現代表)。これまでのべ6万人以上の子ども、保護者を指導してきた。また、2015年には非営利型一般財団法人 日本リーダー育成推進協会(JLDA)を創設し、現在は特別顧問を務める。

2004年にリザルトデザイン株式会社を設立。これまでに3,000社以上の企業で経営者・幹部への指導・研修を実施し、「1年間で離職率を8分の1に改善」「2年間で経常利益26.8倍を達成」「営業成約率を平均31.9%向上」させるなど圧倒的な実績を持つ。 さらに、エグゼクティブコーチやメンタルトレーナーとして、プロスポーツ選手のサポートも手掛けている。

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