「あれもこれもやり残した、とジタバタ死んでもいい」『完全自殺マニュアル』著者が60代でたどり着いた、「非効率な生き方」

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鶴見氏は、文化人類学者マーガレット・ミードの言葉を使い、現代における中高年の立ち位置を「移民」と定義する。

「中高年は、今の文化の中にやってきた『移民』にすぎません。昔の社会には変化がなかったので、年長者はみんな知恵を蓄えた賢者でした。けれども今は変化が激しく、古い知識はすぐに時代遅れになる。マーガレット・ミードはこれを1970年に指摘しました。

自分を老賢人のように思うことをやめて、若者から文化の作法を学ぼうという自覚を持つ。そうすることで、老害化を防ぐことができるのではないでしょうか」

今の社会では、中高年は強権的な存在というより、むしろ若い人に気圧され、隅でおどおどしている存在であることも少なくない。その実像を認め、無理に「完成された大人」を演じるのをやめてしまえばいい。

エジプト
サンゴ鑑賞で訪れたエジプトのダハブ(写真:本人提供)

「大人げない」行動を積み重ねる

私たちが効率や体裁を気にする背景には、日本特有の「他人に迷惑をかけたくない」という配慮がある。

パーソル総合研究所が24年12月に発表した「若手従業員のメンタルヘルス不調についての定量調査」によれば、現代の若年層は他者からの否定的評価を避けたいという「拒否回避志向」が顕著に高い。

その要素は「怒られたくない」「人目を気にする」「受け身の姿勢」「失敗への恐れ」「対立回避」の5つ。これは若者だけでなく、今の社会全体を覆う空気でもある。

「周囲に迷惑をかけないように、スマートに、効率的に振る舞わなければならない」という無言の圧力。そこから脱するために、鶴見氏は意外なところから着想を得ている。

「アメリカでは人種的・性的なマイノリティへのエンパワメントが盛んです。日本の中高年は“偉そうな老害”というイメージばかりが語られますが、『キモくて金のないおっさん』だって中高年です。日本の中高年もアメリカで励ましを受けているマイノリティと同じ弱い立場にいるのです。だから同じようにエンパワメントが必要だと思いました」

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