気がつくと、段々と山頂から人が減っていっています。帰りのロープウェイの時刻が気になります。確か、どこかに16時と書いてあったような……だとすると、あと1時間ありません。
「私たちも下山しましょうか」
「そうですね、ここからロープウェイの駅までそれほどかかりませんが、少し余裕を持って降りますか」
Sさん主導で、私たち2人は下山を始めました。
おかしい。景色が違う
下りは上りよりはるかに早いペースで進みます。脚や膝に負荷はかかるけど、上りより息は上がらず、長い時間歩けそうです。事実、15分ほど経つと、かなり下まで降りたような感じがしました。
「あれ? どうしたの?」
私より少し先を歩いていたSさんが、立ち止まっています。
「……おかしい。景色が違う」
え? 慌てて私も周囲を見回しました。山の雪景色で、登ってきた道と何が違うのか私にはよくわかりません。でも、結構下まで降りてきたはずなのに、麓が見えません。
それに上りのとき、最初左手に見えていたなだらかな傾斜が、そろそろ右手に見えてきてもいい頃なのに、全然現れないままです。そして何より、周囲に人が誰もいません……。
Sさんはスマホを取り出して、私たちがいる位置を確かめました。それを横で呆然と眺めていたら、「やっぱり間違ってる」とSさんがスマホの画面から顔を上げました。
「逆側に降りちゃってる。分岐していた道、間違ったほうを降りてきちゃったんだ」
え!!!
私は動転しました。
「ど、どうすれば……?」
「上に引き返して、分岐しているところに戻るしかない。ごめんなさい、僕のミスです」
すでにかなり下まで降りてきています。
「ロープウェイ、間に合いますかね……?」
「どうだろう……。難しいかも……」





















無料会員登録はこちら
ログインはこちら