日本板硝子がファンド傘下での再建を選んだ背景、2006年に断行したピルキントン買収がもたらした災厄

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買収直後からピルキントンの過去のカルテル事件に伴う巨額の制裁リスクが顕在化。07年11月と08年11月に決定した欧州委員会からの課徴金は計675億円に達し、買収によって脆くなっていた財務をさらに悪化させた。

3月24日に開いた非上場化の記者説明会で、日本板硝子の尾崎政一・広報部長は課徴金について、「買収前からリスクとして認識はしていたが、ふたを開けてみると想定より額が大きかった」と振り返った。

買収によって手にした肝心のヨーロッパの事業も想定外が続いた。リーマン・ショック、ギリシャの経済危機がヨーロッパ全体の債務危機へと広がるなど逆風に見舞われ、近年はコロナ禍にも見舞われた。直近でも、ヨーロッパの自動車用や建築用は継続的な赤字だ。

19期中10期で最終赤字

ピルキントン買収後の19期中10期で最終赤字となり、連結最終損益の累計は1506億円のマイナスとなっている。

結果、一旦減らした有利子負債は25年12月末時点で5702億円まで膨張している。25年3月期の有価証券報告書では社債と借入金の返済期限について、1年以内のものが1770億円、1年超2年以下のものが1612億円あると記されている。

こうした状況下、日本板硝子は借り換えなどによる返済期限の先延ばしではなく、今回のスキームによる財務改善を選択した。

「1000億円を超えるリファイナンス(借り換え)を過去に何度もやってきたので、そこはやろうと思えばできる」としつつ、「金利が上昇し、今後の不確実性も増している。長期で考えたときに、課題をなるべく早く解決していかないといけないという考えの下で、今回の決断がベストだと判断した」(尾崎氏)。

TOBを行わずに完全子会社化と非上場化する具体的なスキームや今後の課題などは、<日本板硝子が非公開化へ、売上高が2倍の「小が大を飲む」買収から20年、業績低迷と財務悪化をファンド傘下で立て直し>をご覧下さい。
奥田 貫 東洋経済 記者

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おくだ とおる / Toru Okuda

神奈川県横浜市出身。横浜緑ヶ丘高校、早稲田大学法学部卒業後、朝日新聞社に入社し経済部で民間企業や省庁などの取材を担当。2018年1月に東洋経済新報社に転じた。日本の研究力低下を招いている科学技術政策や、大学・研究機関の諸問題に関心を持ち、取材・執筆を続けている。

情報提供は toru-okuda [at] toyokeizai.co.jp へ。

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