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《世界幸福度ランキング》日本が55位に沈む深刻理由 「失敗を許さない」「レールから外れることを恐れる」強固な同調圧力

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人間関係や文化的体験という「一見無駄に見える豊かさ」まで排除すると、社会の孤立化を招きます(写真:eizan/PIXTA)
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G7各国と比較しても日本の「自由度の欠如」と「寛大さの低さ」は際立っています。

そもそも、日本の教育制度が「減点主義」であり、「失敗を許さない文化」が自己肯定感を削いでいるという見方もできます。

実際に学校教育では「正解を早く見つける能力」が重視され、試行錯誤や失敗を通じて学ぶプロセスが軽視されがちでした。テストで満点を取ることが評価され、挑戦して失敗することは「恥」とみなされる風潮があります。こうした環境で育った若者は「自分には価値がない」「他人と比べて劣っている」という感覚を抱きやすくなります。

内閣府の調査でも「自分に満足している」と答えた若者は45.1%で、アメリカの87.0%やドイツの80.9%と比べて極端に低い状態です。

さらに、日本人の7割以上が将来に不安を感じており、「年金制度への不信感」「雇用の不安定化」「少子高齢化による負担増」への懸念が、幸福感を押し下げる要因になっています。「人生100年時代」という言葉が浸透しても、未来像を明るく描けないのが日本社会の現実です。

特に深刻なのは、若年層の経済的不安です。

非正規雇用の増加により安定した収入を得られない若者が増えています。厚生労働省のデータによれば、15歳から34歳の非正規雇用率は約3割に達しており、結婚や子育てといったライフイベントを諦める若者も少なくありません。「将来の見通しが立たない」という不安が、日本人の幸福感を大きく損なっているのです。

そして経済的不安は「民主主義が揺らぐ」事態まで発展していきます。

経済格差で深まる溝は、どのように現れるのか

経済格差の拡大で、国民感情が偏る動きがあります。

厚生労働省のデータによれば、国民の所得の中央値の半分以下しか持たない「相対的貧困率」は15.4%。実に7人に1人が貧困状態にあり、G7先進国のなかでも高い水準です。特にひとり親世帯の貧困率は44.5%と、半数近くが経済的困窮にあえいでいます。

この「見えない貧困」の放置が、社会の底流に澱むルサンチマン(恨み)を醸成し、現状打破を掲げる過激なポピュリズムや陰謀論への支持へと直結している側面があります。

内閣府の調査によれば、政治への信頼度は先進国のなかで最低水準です。「政治が自分の生活を良くしてくれない」という諦めが、既存の権威に反発するポピュリズムや、複雑な現実を単純な因果関係で説明する陰謀論への傾倒を生み出しています。

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【異なる意見を持つ人々を「敵」とみなすように】

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