優秀な部下に"耳の痛い話"が届かない本当の理由――信頼の「貯金」を築くための"心理的安全性"の正しい使い方

✎ 1 ✎ 2
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

日本企業の上司の多くは、心理的安全性を「部下を傷つけない仕組み」と誤解しているため、厳しい指摘とは相反するものだと考えがちです。

本来の心理的安全性とは、現場から緊張や衝突を排除することではありません。緊張や衝突が発生した際に、適切に受け止められる状態を構築することが、心理的安全性の本質です。

前回、解説した「傾聴」「承認」「質問」の3つの要素は、単なるコミュニケーション上の技術ではありません。これらは、将来的にリーダーが組織として厳しい判断を下す際に必要となる、「信用残高」を積み上げるための投資です。

日頃から部下に対して関心を示さない上司が、問題が起きたときだけ厳格な姿勢を見せても、その言葉が部下の心に届くことはありません。

上司が日常的に対話を重ね、部下への深い理解を示していれば、強固な信頼関係が構築されます。

なぜ厳しいフィードバックが可能か?

こうした関係性が土台にあれば、たとえ厳しい批判を受けたとしても、部下はその言葉を「自分自身への攻撃」と捉えることはなく、さらに大きな成果を出すための「客観的な指摘」として真摯に受け止めることになります。

上司と部下の間にこうした信頼関係が構築されていなければ、耳の痛いフィードバックが本来の機能を果たすことはありません。

相互の信頼が欠如した中での指導は、たとえ正当な理由があったとしても、受け手には単なる叱責として伝わってしまう可能性が高くなります。その結果、上司の意図に反して、ハラスメントとして認定されるリスクにつながるのです。

部下が耳の痛いフィードバックを拒絶せずに、受け入れている状態であれば、そのチームに心理的安全性が根付いている証拠と考えることができます。

次ページ上司が果たすべき役割とは…
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事