「快活CLUB」「FiT24」「アニヴェルセル」も…AOKIが「スーツの会社」なのに異業態を次々と成功させられた"3つの要因"
面白いのは、その流動性の高さだ。正月の初売りやフレッシャーズ商戦ともなれば、日頃接客する機会がない管理部門の本社スタッフまでもが、全国のAOKIやORIHICA店舗へ応援に駆けつけるのだという。
この「現場を社員全員で支える」という一体感が、グループ全体の採算性を底上げしている。
さらに、この人材流動は、単なる人数合わせに終わらない。
経営陣が全国の快活CLUBの店舗におもむき、パートやアルバイトスタッフの働きぶりや特性などをあらゆる観点から観察し、システム部門や本社業務、あるいはAOKI-HDの別部門へとスカウトされることもあるというのだ。
「店舗スタッフから本社へ。本人も想像していなかったキャリアが開かれているという現場の声を聞いていますね」と、田村社長は顔をほころばせる。
現に、快活CLUBを運営する快活フロンティアのマネジメント層の多くは、ファッション事業の経験者だ。AOKIで培ったマネジメント手法を、エンターテイメントという新業態に最適化させてきた。
しかし、このような異業種間の人材の循環がスムーズに行える理由は、どこにあるのか。
それは、どの事業部、どの店舗に立っていても、「人々の喜びを創造する」というグループ共通のコンセプトが、社員の「共通言語」として深く根付いているからに他ならない。
業態は違えど、目指すゴールは同じ。この強いアイデンティティの共有があるからこそ、AOKIグループは「資金・人材・時間」という資産を、停滞させることなく循環させ続けられるのである。
進化する「深化」、止まらない「探索」
快活CLUBが大きな成長を遂げる一方で、筆者が気になっていたのは「祖業のファッション事業はどうなっているのか」という点だった。この本業もまた、未来を見据えて「深化」しているそうだ。
ファッション事業において「深化」の象徴となっているのが、ビジネスカジュアル路線の「ORIHICA(オリヒカ)」だ。
2020年3月期から2024年3月期の店舗数推移によれば、4年間で年平均6店舗のペースで減少傾向にあった。しかし、その内実は不採算店舗の整理という「選択と集中」をした結果だ。
「ファッション事業では不採算店を整理し、より顧客の生活圏に近いショッピングセンター内への出店を強化しています」と田村社長は語る。快活CLUBが急成長する裏で、本業もまた時代に合わせてアップデートしていた。
店舗網の再編と並行して、商品構成そのものの「深化」も進んでいる。
現在、ファッション事業の売上構成比は、ビジネス、レディース、カジュアルの順で「7:2:1」だが、同社はこれを2032年までに「4:3:3」へと転換する大方針を掲げている。





















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