「快活CLUB」「FiT24」「アニヴェルセル」も…AOKIが「スーツの会社」なのに異業態を次々と成功させられた"3つの要因"
マニュアルにない一言の添え方や、顧客が快適に過ごせるための目配り。どんなに高度な運営システムや清掃技術があっても、そこに「人をもてなす心」が欠けていれば、ただの無機質な空間になってしまう。
この三本目の矢があるからこそ。快活CLUBは「便利な場所」というだけでなく、多くのファンに支持される「選ばれる場所」となっているのだろう。
加えて、「直営による教育」もまた、これらの仕組みを血の通ったものへと昇華させている。
「直営だからこそ、クリンリネスや安全性の基準を徹底できます。フランチャイズに頼らず、自社の手で教育を施したスタッフが現場に立つからこそ、ホスピタリティというDNAを隅々まで行き渡らせることができるのです」(田村社長)
徹底した教育の浸透が、複合カフェ業界で約50%(※2023年3月期末)という圧倒的なシェアを誇る、現在の快活CLUBを支える原動力となっている。
資産と人材を「循環」させる
快活CLUBの躍進を解説してきたが、これは単独で上手くいった訳ではない。背後には、祖業であるファッション事業との相互補完が働いている。
まず、圧倒的な「軍資金」の存在だ。ファッション事業のなかでも紳士服は、トレンドに左右されにくい定番品を扱い、長年安定したキャッシュを生み出してきた。
「ファッション事業は大きく崩れることなく、着実に利益を出してきました。その基盤があるからこそ、リスクを取って新規事業へ投資し続けられました」(田村社長)
AOKI-HDがグループ全体の資金を一括管理し、既存事業が稼いだキャッシュを成長領域に投下する。この仕組みが、快活CLUBの爆発的な出店を支えていた。
なかでもユニークなのが、季節ごとの人材トレードだ。
紳士服のピークは、2〜3月のフレッシャーズ商戦。一方、快活CLUBが最も忙しくなるのが、酷暑の夏場である。この「繁忙期のズレ」を、同社は戦略的に利用している。夏場、スーツの需要が落ち着く時期には、AOKIの社員が快活CLUBの現場を支援する。逆に春のピーク時には、エンタメ部門の社員がスーツの接客を手伝うといった具合だ。






















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