アメリカのエネルギー自立という悲劇 "最強の産油国"の独善が、日本の生命線「ホルムズ海峡」を窒息させる
「シェール(頁岩)」と呼ばれる非常に硬く緻密な岩石の層に閉じ込められた石油は、例えるなら「硬いスポンジに染み込んだ油」のようなもので、従来の技術では取り出すことが不可能でした。
この不可能を可能に変えたのが、地下深くでドリルを90度曲げて進む「水平掘削」と、超高圧の液体を注入して岩盤にヒビを入れる「水圧破砕法」という2つの技術の組み合わせでした。
その効果は劇的でした。アメリカの原油生産量は急増し、18年にはついにサウジアラビアとロシアを抜き、世界最大の原油生産国へと返り咲きました。そして20年には、約20年ぶりに石油製品の「純輸出国」へと転換したのです。これは、世界の地政学における転換点でした。
アメリカは、もはや中東の石油に依存する必要がなくなりました。これによりアメリカの外交政策は大きく舵を切り、中東への過剰な関与を減らし、新たな最大のライバルである中国への対策にリソースを振り向ける余裕が生まれました。
ドナルド・トランプ前大統領が、それまでタブーとされてきた「イラン核合意からの離脱」や「在イスラエル大使館のエルサレム移転」を強行できたのも、極論すれば「中東の産油国の顔色を、昔ほど伺う必要がなくなった」という、シェール革命によるエネルギー自立が背景にあるのです。
サウジ・ロシア・アメリカの「新・三極体制」
アメリカという「世界最大の買い手」が、突如「世界最大のライバル売り手」に変貌したことは、旧来の産油国にとって悪夢以外の何物でもありませんでした。
OPECの盟主であるサウジアラビアの実権を握るムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、アメリカのシェール企業を市場から一掃するため、増産による「価格戦争」を仕掛けました。





















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