楽天はエコシステム輸出、NTTは光でAI電力問題に挑む──世界最大級の通信展示会で示した日本2社の異なる勝ち筋

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冒頭で示されたのは、AI市場の成長予測だ。今後10年で20倍、生成AIに限れば40倍に拡大するとの見通しを示した。成長に伴いデータセンターやサーバーの需要が急増し、電力消費が指数関数的に増えていく。

島田社長はAI市場が2030年までに20倍、生成AIは40倍に拡大するとの予測を示した(写真:筆者撮影)

島田氏はこの構造的な課題に対し、「光技術で、AIが必要とする性能を維持しながら電力消費を劇的に下げる」と宣言した。

NTTが推進する次世代インフラ構想「IOWN」の中核となるのが、光電融合(PEC:Photonics-Electronics Convergence)だ。現在のAIインフラは電気配線が主流だが、短い距離の電気接続でも大量の電力を消費する。光通信はデータ量が増えても消費電力がほとんど変わらない。この特性を生かし、通信から演算処理までを光技術に置き換えていく。NTTは2032年までに電力消費を従来の100分の1に引き下げる目標を掲げている。

PECには段階がある。第1世代の「PEC-1」はデータセンター間の光接続で、すでに商用化されている。次の「PEC-2」はデータセンター内部に光技術を導入するもので、ラック間やサーバー間を光で接続する。島田氏は2026年中の商用化を明言した。

PECデバイスのロードマップを示す島田社長。PEC-1からPEC-4まで段階的に光化を進める計画だ(写真:筆者撮影)

PEC-2は米Broadcomなどと連携して開発を進めており、大規模AIスーパーコンピューター向けの高速・低電力インターコネクトとして設計されている。障害時にデバイスを個別に交換できる構造で、運用環境での信頼性を重視した。

さらに先のPEC-3では、基板上の半導体間やパッケージ内部のチップ間配線まで光化する。2028年以降の実用化を目標に掲げ、従来比100倍の電力効率を見込んでいる。

光量子コンピューティングにも布石

島田氏は講演の後半で、光量子コンピューターにも触れた。GoogleやIBMが開発を進める量子コンピューターは、マイナス270度近い極低温に冷やす大がかりな装置が必要になる。NTTが理化学研究所と取り組む光方式は室温で動作し、冷却装置が要らないため消費電力が大幅に少ない。装置のサイズもサーバー1台分に収まる設計を目指している。

理化学研究所と連携する光量子コンピューター「OptQC」の実機写真も公開された(写真:筆者撮影)
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