楽天はエコシステム輸出、NTTは光でAI電力問題に挑む──世界最大級の通信展示会で示した日本2社の異なる勝ち筋
多くの通信事業者がモバイルネットワークの上にエコシステムを構築しようとしてきた。三木谷氏はこのアプローチとの違いを強調した。楽天はeコマース、旅行、オンラインバンキング、クレジットカード、証券など70以上のサービスを先に持ち、後からモバイル事業に参入した。既存のサービス群にモバイルを加えたことで、利用者の行動が大きく変わったという。
講演で示されたデータによると、楽天モバイルに加入した楽天会員は、サービス利用が2.43倍に増えた。楽天市場の流通総額(GTV)は48.8%増、楽天トラベルは19.6%増、楽天カードの利用額は30.9%増となった。「契約者をメンバーに変えることが重要だ」と三木谷氏は語った。
楽天グループ全体で月間4560万件のトランザクションがあり、モバイル契約者数は1000万を超えた。利用者はただサイトを訪れるだけでなく、商品を買い、旅行を予約し、決済をする。こうした行動データの蓄積が、楽天の次の武器になっている。
データの活用にも踏み込んだ。楽天グループは年間3兆件以上のデータポイントを蓄積しており、これを広告やサービスの最適化に活用している。データとAIを組み合わせた検索機能の改善だけで、流通総額に約2億5000万ユーロの押し上げ効果があったという。「通信事業者はGoogleやAppleより多くのデータを持っている。データは金脈だ」と、他の通信事業者にもデータ活用を促した。
コスト削減の手段として掲げたのが、ネットワークの完全仮想化だ。従来の通信事業者は専用のハードウェアを使って基地局を運用するが、楽天モバイルはすべてをソフトウェアで動かす方式を採用した。自社開発の基盤を使い、短期間で全国ネットワークを構築した実績をアピールした。衛星通信ではAST SpaceMobileに出資し、地理的カバレッジ100%を目指す方針も示した。
三木谷氏が世界の通信事業者に提案したのは、楽天シンフォニーを通じたソフトウェア技術の提供だけではない。リワードプログラムやコンテンツプラットフォーム、メッセージングサービスまで含めた「エコシステムごとの輸出」だ。「テレコム業界はネットワーク接続を提供するだけの存在から変わるべきだ。エコシステムなしに未来はない」と講演を締めくくった。
島田氏、光でAIの電力問題に挑む
NTTの島田社長は、AIインフラが直面する電力消費の問題に正面から切り込んだ。NTTは世界トップ3のデータセンター事業者であり、大規模なクラウドやAIインフラを運用する立場から、電力問題は自社の経営課題でもある。





















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