「暴政株式会社」が破壊するアメリカの自由と民主主義 資産なき人びとの「絶望死」と「それでも」トランプが支持される深層
今も株価がウナギ登りを続けるアメリカだが、トランプ現象であらためて明らかになったように、かつて製造業が栄えながら衰退する地域(ラストベルト)で工場海外移転などにより職を失った労働者は、サービス産業に取り込まれていった。
外食・小売業では2500万人が主にシフト勤務で働くが、その3分の1が翌週の勤務予定について1週間前まで通知を受け取れない、という。子供を抱えていたりすると預け先を見つけるのも困難だ。それでも、仕事を手放すことはできない家計状況につけ込まれる。
そんな勤務で身体と精神が病んでいく。「絶望死」の前段だ。トイレ休憩がないため、オムツを着用させられる労働者もいる。まさに私的暴政が働いているのだ。
冒頭に描いたとおり、こうした労働に就く人たちの実質賃金は1970年代から伸びていない。
この間、アメリカの国内総生産(GDP)は実質4倍にもなり、株価もウナギ登りなのである。逆に労働者は貧困化し生活費の支払いもできなくなり、公的扶助に頼る。
本書によれば、ファストフード店で働く労働者の半数、大学の非常勤講師の4分の1が公的扶助対象の貧困層になっている。
組合組織率は数パーセント程度
なぜ、こんな労働条件の中に人びとは置かれるのか。
本書はその根源的理由を探っていく。
一つは「契約の自由」という、契約の当事者を対等とみなす法理である。この法理に立てば、労働者と雇用者は対等となる。
これは、アメリカの建国当時の社会の姿にまでさかのぼって考えなければ分からないことだ。独立した自営農民が市民の中心とみなされていた時代のアメリカの考え方だ。
しかし、今日のアメリカの労働者と雇用者の関係を対等な契約の当事者とみなすことは到底できない。
社内弁護士だけでも100人以上抱えるような大企業に、どうして個々の労働者が立ち向かえよう。その労働者が組合を組織して立ち向かう団結権さえも阻害されているのが、今日の状況なのだ。いま、アメリカの民間部門の労働者の組合組織率は数パーセント程度である。





















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