「暴政株式会社」が破壊するアメリカの自由と民主主義 資産なき人びとの「絶望死」と「それでも」トランプが支持される深層
そう主張する理由はあった。
大統領候補選びのための予備選挙が始まる前から、特に高卒以下の学歴層で異様な盛り上がりを見せるトランプ支持の背景を探ろうと、さまざまな資料を引っ張り出しているうちに、異様な事態に気付いた。
リーマン危機後に一時7000ドル以下までに落ち込んだダウ平均株価は2.5倍の1万7000ドルにまで達し(本稿執筆時点ではさらにその3倍に近い)、一時10%に及んだ失業率も5%以下まで下がっていた。オバマ政権下で経済は順調に回復しているという印象だった。
だが、一皮めくれば、それどころではなかったのだ。どういうことか。
株価は急伸しているのに普通の人びと(中下層)の所得は減る一方だった。
アメリカの実質所得の中央値はリーマン危機前の2007年に比べて伸びるどころか、逆に6.5%も減っていた。その結果、貧困率も2.3%アップし15%近くになり、4700万人にも及んでいた(米国勢調査局年次報告『合衆国の所得と貧困』2015年版)。
失業率が下がったといっても、つぶさに統計を見てみるとおかしい。高学歴者はいい。修士号以上を持つ者の間では失業率は3%以下だった。
だが、高校中退では9%、リーマン危機当時の失業率が続いていた。しかも就業しているといっても、働いている時間は週30時間に満たない人が多い。ギグワークやパートタイムばかりの様子がうかがえた。
富裕層の「焼け太り」と人びとの「絶望死」
のちに連邦準備制度理事会(FRB)資料に基づく分析で分かったことだが、上位10%の富裕層を除き、あとの90%はリーマン危機前から16年大統領選挙までの期間に、資産を大きく減らしていた。
所得水準で見て中位にあたる20%の人びとに至っては、平均して7割も資産を失っていた。リーマン危機で住宅ローン破産した後、オバマ政権が救済措置をとらずに放置したためだ。
ところが、危機を引き起こした金融機関の幹部らは、日本円にして何億〜何十億もの「退職金」を手にして「責任をとって」辞めている。
退職金の原資は政府から注ぎこまれた救済資金、つまり人びとから剥ぎ取った税金だったわけだ。上位10%富裕層の「焼け太り」である。





















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