「殺してほしかった」、8年間で110名超…刑期終えた出所者支援を"何度裏切られても"続けなければいけない理由

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
日本駆け込み寺の活動に参加していた頃の千葉さん
日本駆け込み寺の活動に参加していた頃の千葉さん(千葉さん提供)

「その経験から、自分が立ち直れたのは家があり、働くことができたからだと思い至りました。行くあてのないまま出所した人にも『家』さえあれば、立ち直る基盤ができると思ったんです」

2018年、千葉さんは日本駆け込み寺の活動から完全に離れ、株式会社生き直しを設立、同年7月に1棟目の自立準備ホームを開設した。

「他人のため」=「自分のため」

出所者の多くは、更生して社会に出ていこうと真摯に努力しているが、再び罪を犯す人もいる。信頼関係を築けず、胸倉をつかまれたこともあった。なかには反社会的勢力と縁を切れない入所者もいる。

怖くないのかと再度聞いてみたところ、返ってきた答えは「しょうがない」だった。

「ここまでやって恨まれたら、しょうがないです。たとえ逆恨みされて命を奪われても、しょうがないとしか言いようがないんです」

千葉さんは、9度にわたって「しょうがない」を繰り返した。

殺されても、「しょうがない」のだろうか。決して被害者の命を軽く見るわけではないが、20年以上前の過失で、ここまで自分の人生を犠牲にしなければ、償いきれないのだろうか。また、自分を犠牲にすることで罪を償おうとすることを、亡くなった友人は喜ぶのだろうか。

疑問をそのままぶつけてみた。

「でも僕は、この仕事を好きでやってるんで。自己犠牲に見えるかもしれませんが、自己満足でやってるんです。この仕事を続けて、誰かが更生したことを亡くなった彼に報告したいんですよ。そのことで、結果的に自分が一番救われているんだと思います」

次ページ遺族の許し
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事