「殺してほしかった」、8年間で110名超…刑期終えた出所者支援を"何度裏切られても"続けなければいけない理由
自立準備ホームは、07年施行の更生保護法に基づく「更生緊急保護制度」のもとで整備された、出所者の一時的な住まいである。
千葉さんはこれまで、刑期を終えた出所者の自立支援に携わってきた。その人数は、8年間で110名を超える。
仕事が決まって自立していく人も多いなか、犯罪を繰り返して刑務所に戻る人、同室者を殴って退寮させられる人、突然失踪して戻ってこなくなる人もいる。
犯した罪も、窃盗、薬物から性犯罪や殺人未遂までさまざまだ。刑期を終えた人とはいえ、彼らの人生に直接関わることに、不安はないのだろうか。
「みんな、彼らを知らないだけなんですよね。全然知らない。知っているのは、メディアで誇張され、脚色された凶悪犯罪者ばかり。みなさんがイメージするのは、そういう人たちですよね。だから怖いんです」
千葉さんは、前職と併せて10年以上、出所者の更生支援に取り組んでいる。彼には、何度裏切られても、経済的にサステナブルではなくても、この「生き直し」事業を続けなければならない理由があった。
千葉さん自身の生き直し
「生き直し」事業は、千葉さん自身の人生に深く根を張っている。
「私は約20年前、人の人生を奪ったことがあるんです。彼は私の友人でした」
大学1年生の春休みだった。高校時代からの友人を車の助手席に乗せて送る際、いつもの道で、ハンドル操作を誤った。
「道路を横断しようとしていた大型トラックをよけようとしてハンドル操作を誤り、ガードレールにぶつかったって感じでしたね」
詳しいことは、よく覚えていないという。車は壊滅的な状態だったと、事件後に父親から聞いた。奇跡的に千葉さんだけが無傷だった。何度も友人の安否を尋ねる千葉さんに、警察は逮捕状をかざした。
罪名は、「業務上過失致死罪」。
留置場の中で、23日間過ごした。20歳を超えたばかりの千葉さんの肩に、友の人生の重みがのしかかる。鉄格子の内側で、刑務所に入れてくれと訴えた。生きているのが怖かった。
亡くなった友人は、高校時代に所属していた野球部で最も仲が良く、高校卒業後もよく会う仲だった。バッテリーを組んでいたこともある。親友といってもいいほどの間柄だった。
淡々と感情を交えずに「殺してほしかった」と語る千葉さんの様子が、少し気になった。どこか他人事のように語るのは、当時の感情に触れたくないからなのか。冷たい留置場の中で膝を抱えて震える20歳の千葉青年が、今も心のなかにいるのだろうか。





















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