「殺してほしかった」、8年間で110名超…刑期終えた出所者支援を"何度裏切られても"続けなければいけない理由

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民家のように見えても、扉や壁には「ドアは優しくしめましょう」「節電を心がけましょう」など、共同生活ならではの注意事項が貼られている。廊下の突き当たりからは、防犯カメラがまっすぐ玄関を狙っていた。

注意事項
防犯カメラ
普通の住居のようだが、ところどころにテプラで注意事項が貼られ、防犯カメラが作動していた(筆者撮影)

千葉さんは2018年に株式会社生き直しを設立、現在は3棟の自立準備ホームを運営している。うち1棟は女性寮だ。

法務省からの委託費は入居者1人につき1日5300円。その中には食費、光熱費などが含まれる。入所者からは1円も受け取っていない。設備が壊れれば、自費で修理や買い替えをするしかない。

対して、仕事内容は決して楽とは言えない。出所してきたばかりの入所者の住民票移動の手続き、携帯電話の契約、仕事探しや家探しのサポートなど多岐にわたる。そのうえ保護観察所からの出所者受け入れ要請は、いつも急にやってくる。

「経営的には、サステナブルとは言えませんよね?」と聞くと、即座に「そうですね」と返ってきた。

怖いのは、彼らを知らないから

自立準備ホームに入所するのは、主に「満期出所者」だ。

刑務所内での態度や更生意欲、住居や受け入れ先の有無などにより、「社会内で更生できる」と判断されると、刑期満了前に仮釈放が認められる。出所後は保護観察がつき、定期的な面談や生活確認を受けながら社会復帰を目指す。

一方で満期出所は、刑が完全に終了してから出所するため、原則として保護観察はつかない。仮釈放と違って法的な制限はないが、その分公的な伴走支援もない。住まいが決まらないまま出所する人もおり、生活が不安定になりやすく、再犯リスクも高くなるという課題があった。

炊飯器
米は支援者からの寄付によって賄っており、入居者は食べ放題(筆者撮影)
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