「3セク鉄道」MBA取得者が経営したらどうなった? 福井県の「えちぜん鉄道」元専務が説く日本の現実

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伊東尋志(いとう・ひろし)●1969年福井県生まれ。神戸大学法学部卒。1992年福井県庁入庁。1998年米国ニュージャージー州立ラトガース大学経営学大学院修了。その後、民間企業を経て2011年から2021年までえちぜん鉄道で専務取締役兼安全統括責任者などを歴任(写真:本人提供)
福井県のえちぜん鉄道の元専務取締役として経営に携わってきた伊東尋志氏は、アメリカで経営学修士(MBA)を取得した経営の専門家だ。そんなMBAホルダーが地方鉄道の経営に携わるとどのような発想で経営が行われるのか。伊東氏に話を聞いた。

鉄道を社会資本として扱いきれていない

――えちぜん鉄道の前身となる京福電鉄では、2000~2001年にかけて半年間で2度も衝突事故を起こし、2000年の事故では運転士が死亡しました。このとき、全線で運行を停止し、赤字路線であることを理由に廃止論が強まりました。当時の状況をどのように見ていましたか。

京福電鉄の事故は、単に「不運な事故」ではなく、直接的な原因は、間違ったコスト削減と、安全投資の不足でした。

しかし、より根本的な問題は、利用者を軽視し、企業内で安全や経営を担う人材マネジメントが軽視されていたことにあります。その結果、長期的・社会的な視点が失われていった。私はそこに最大の問題があったと考えています。

日本では、鉄道が赤字であるというだけで「廃止はやむを得ない」と語られがちですが、収益事業であると同時に、鉄道は社会資本です。単年度の収支や市場論理だけで評価すべきものではありません。

京福電鉄の事故は、日本が鉄道を社会資本として扱いきれていないこと、鉄道事業法にも明記されている公共の福祉を民間任せにしていることを象徴的に示していたと思います。

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