82歳父「うるさい! もう帰れ!」→追突事故を起こしても免許返納せず…行動経済学的に「運転をしない」環境をつくる方法
年金生活で貯蓄もないH夫さん。この40万円はGさんが払うことになりそうです。そしてまた事故を起こしたら……。
そう考えると、Gさんは気分が悪くなりました。
高齢になると、自分の考えへのこだわりが強くなります(信念バイアス)。そんなH夫さんは認知バイアスの赴くままに行動してしまったようです。
車屋さんで、事故車に対して「修理して乗り続ける」か「修理せずに乗るのを諦める」の二択を求められた場面では、「せっかくのマイカーを手放したくない(保有バイアス)」「車を手放すほどの問題を起こしたわけではない(自己奉仕バイアス)」が働き、修理を選択しました。
「免許返納(変化)か否(現状維持)か」という二択を示されたときには、後者を選びました(現状維持バイアス)。
特に、免許返納は「今までの当たり前だったことを捨てる」という重い決断です。H夫さんは理屈をつけてでも運転を続ける動機が強い中で、頭ごなしに免許返納を言われると、反発したくなったのは当然の反応なのです。
ただし、このまま認知バイアスをコントロールできなければ、いよいよ悲惨な事故を起こしそうです。
目的と手段を分けて、「車を運転させない」を達成する
本ケースの解決策(目的)は「H夫さんが車を運転しないこと」で、免許返納やマイカー処分はそのための「手段」です。目的と手段を明確に区分することで、解決の選択肢が広がります。
親子とは言え、GさんはH夫さんの意に反して免許返納手続きをしたり車を処分したりすることはできません。でも、H夫さんに車を運転しなくて済む環境を用意し、それを納得して受け入れてもらうことならできそうです。
別の手段があれば、免許返納やマイカー処分にこだわる必要性はないのです。たとえば、H夫さんが免許やマイカーを保有したままでも、タクシーを使うようになれば、問題が生じません。
しかし、高齢になると「現在バイアス」が強くなることもあり、電話をかけてタクシーを呼ぶよりは、目の前のマイカーを使いたくなります。





















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