私は講演などに招かれた際、よく脂肪肝の健康リスクについて話します。脂肪肝は長い間「たいしたことのない病気」と思われてきましたが、近年は「あらゆる病気の出発点」とされ、放っていると多くの重大な疾患を招きかねない厄介な病気と見なされているのです。
ところで、この脂肪肝に関して、非常に多くの方々が思い込んでしまっている「誤解」があります。
それは「脂肪肝になるのは、肉や揚げ物などの脂っこい食べ物をたくさん摂っているせいだ」という点。脂肪肝という名称のせいもあるのでしょうが、「脂肪肝=脂肪の摂りすぎでなるもの」と思い込んでしまってるわけですね。
しかし、これは大間違い。
肉、揚げ物、てんぷらなどの脂の多いものは、よほどたくさん摂らない限り脂肪肝にはなりません。こうした食べ物にはたしかに多くの中性脂肪が含まれているのですが、これらの中性脂肪は体内に入ると別の脂質に変換されてしまうため、肝臓に蓄積することはありません。つまり、「脂ものを多く摂ると脂肪肝になる」というのはまったくの濡れ衣。そして当然ながら、「脂ものを控えたところで脂肪肝を防ぐことはできない」ということになります。
糖質過剰が病気を招き入れる
では、肝臓に脂肪がたまるのは何者のせいなのか。
その犯人は「糖質過剰」です。
日々過剰な量の糖質を摂っていると、血中ブドウ糖があふれて高血糖になり、大量のインスリンが分泌されます。インスリンには体内の余剰糖質の中性脂肪への変換を促す働きがあり、しょっちゅう高血糖になっていると、インスリンによって次々に中性脂肪がつくられていくことになります。これらの脂肪が肝臓に蓄積して、脂肪肝を形成していくことになるのです。
すなわち、問題にするべきはあくまで糖質の摂りすぎ。ごはん、パン、麺類、甘い飲み物、スナック菓子、果物などの糖質の多いものを野放図に口に入れてしまっている食生活が脂肪肝を形成し、その脂肪肝によってさまざまな病気を招き入れる扉が開け放たれてしまうというわけです。
ですから、もし脂肪肝という問題の側から食べ物を裁くなら、「糖質は有罪確定」ですが、「(肉や揚げ物などの)脂ものは無罪」ということになります。たぶん、みなさんの中にも、これまで誤解をしていた人が多いのではないでしょうか。





















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