探究学習のメソッド学ぶ「国際バカロレアの教員研修」を文京区が導入…744万円支出の成果はどう測る?
つまり、その業者からしか受けられない研修だったために、入札は行わず、随意契約になったということだろう。依田区議は言う。
「探究学習の成果は客観的に測りにくい。この研修もどの程度、意味があったかを客観的に評価するのが難しいです」
探究学習の充実を目的に、国際バカロレアの教員向け研修を導入するのは、筋が通っているように見える。しかし、どの程度成果があったかは測りにくい。
例えば、英検(実用英語技能検定)対策の研修を業者に委託するとしよう。この場合、生徒の英検資格の合格率で効果が測れる。最初に契約した業者の研修後、合格率が上がらなかったら、その研修を取りやめることを検討するだろう。しかし、探究学習のための研修となると成果の評価が難しい。
「全国学力・学習状況調査 児童・生徒質問調査の結果から見て取れるところがあります。私も見に行きましたけど、指導主事が研修受講者の授業を参観しに行っています。また、『教育に関する事務の管理及び執行状況の点検及び評価』の対象にこの研修を加え、外部の有識者にも評価していただく予定です」(藤咲氏)
英検対策のように成果が測りにくい。これは今回の文京区の研修だけではなく、探究学習全体の問題だ。
探究学習の成果の評価は難しい
例えば、私立高校は探究学習の成果として、推薦・総合型選抜の合格実績をアピールすることがしばしばある。
しかし、推薦や総合型選抜を取材した一記者としては、「実際の推薦・総合型選抜でどこまで探究学習を評価しているのだろうか」という疑問も湧き出る。
東京大学の学校推薦型選抜の合格者は、どんどんと首都圏の難関高校の男子生徒の割合が増えていく。一般選抜と同じ層が合格していくのだ。探究学習の内容で合否を決めているのなら、もっと幅広い偏差値帯の高校の生徒が合格し、女子が男子より多くなってもおかしくない。
東大だけではなく、旧帝大の推薦・総合型選抜では評定平均値4.6以上の生徒の戦いになっている。偏差値50の高校の評定平均値4.6と偏差値70の高校のそれではまったく違う。
旧帝大の推薦・総合型で優先的に合格していくのは後者の学生たちだ。偏差値70の高校で評定平均値4.6以上あればまず基礎学力があり、勤勉だと評価されるのだろう。
実際、東大の推薦もオーソドックスな探究学習で合格するし、中堅高校で質の高い探究学習をしている学校もあるが、そこから東大や旧帝大の推薦・総合型選抜の合格者はまず出ない。
つまり、大学受験における推薦・総合型選抜の合格実績はその高校の探究学習の成果の証明にはならない。
行政側が、探究学習をどうやっていくべきか現場の教諭をサポートするために研修を取り入れるというのは前向きな姿勢といえよう。それが海外で実績があるバカロレアの研修であるというのは理解もできる。しかし、その成果を測るのが難しい。
「区の教育施策の一環ですので、その成果はどうであるかを示していく義務があると思います」(藤咲氏)
教育改革の中で、新たなる課題が出てきたようにも見える。
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