GX-ETSの第2フェーズ。制度の根幹である、排出枠の割当方法、ベンチマーキングの留意点をエネルギー政策の専門家が解説(後編)
技術中立的なベンチマークの考え方を図3に示す。
ある製品を製造する技術に、原単位の異なる2つがあるとしよう。この時、技術Aおよび技術Bをそれぞれ異なる製造プロセスと捉えて別々のベンチマークを設定すると、Aは緑、Bは黃色の水準となり、それぞれの技術の中でベンチマークより原単位の低い施設には必要な排出枠が与えられるが、その他の施設では排出枠が不足する。
他方、これを同じベンチマークで評価すると赤の水準となり、Aはより多くの排出枠を受け取ることができるが、Bでは一番効率の良い施設でも排出枠が不足する。技術中立的なベンチマークは、製品の用途が同じ場合、異なる製造技術であっても同じベンチマークで評価する。これにより、低炭素技術の普及を促すことが、政策目的にかなう「公平な評価」とする考え方である。

EUでは、目的が同じ製造プロセスを、原料や製造技術に関係なく1つのベンチマークに含有できるよう、製品区分の見直しを行った。ただし、鉄鋼とアルミニウムに関しては、30年までは1次・2次の生産プロセスの区分を維持するとしている。
区分変更を通して、グリーン鉄やグリーン水素などに対し、従来型の製造プロセスと同じ割当規則を適用することで、これらの製品の製造を誘導する。また、GX-ETSでは割当対象外としている購入電力の消費に伴う間接排出も、EU-ETSでは燃料との代替可能性があるプロセスにおいて、燃料の直接投入と同じ基準で割り当てる。これにより、製造プロセスの電化に強いインセンティブが与えられる。
ベンチマークの決め方
前述の通り、ベンチマークの算定方法は業種ごとに定めるが、水準設定の考え方は統一された。すなわち、基準年度の水準はそれぞれの業界に属する企業の排出原単位の中央値(上位50%)、30年度に目指すべき水準は同上位32.5%の値である(図4)。この趣旨は、第一に省エネ法で上位15%程度に設定されたトップランナー水準に達するまでに10年程度を要するという経験則、第二に26年度から30年度までが10年の半分の5年間であることだ。これにより、中央値と上位15%の中間である32.5%を30年度の目標に設定した。





















無料会員登録はこちら
ログインはこちら