「あなたの部屋は本当に安全?」——大地震では家具が凶器に《見落としがちなポイントとよくある7つの誤解》
(6)キャスター付き家具は、対角線上にある2つをロックさせておくとよい?
キャスター付き家具では、4つあるキャスターのうち対角線上の2つだけをロックする方法が、かつて病院などで採用されていました。これは、家具を完全に固定するのではなく、揺れを逃がして吸収させることを目的とした方法です。
しかし、この方法では家具が室内を移動してしまうことを防げないことが分かってきました。
そのため、国立研究開発法人防災科学技術研究所の「病院スタッフのための地震対策ハンドブック—あなたの病院機能を守るための身近な対策—」(2016)では、4つすべてのキャスターをロックする方法(4点ロック)が推奨されるようになりました。
ただし、4点ロックだけでは揺れを逃がすことができず、転倒のリスクが高まる場合もあります。そのため現在は、東京消防庁が示しているように、4点ロック+壁や床への固定によって、家具の移動と転倒の両方を防ぐ方法が勧められています。
なお、固定とはいっても、移動の際には固定を解除できる製品もあります。また、2025年の研究(Xuほか)では、キャスターのロック方法だけでなく、キャスターの材質や床との摩擦条件によって結果が変わることも報告されています。
とはいえ、一般家庭でキャスターの材質まで考慮した対策を行うことは難しいため、現時点の防災研修では東京消防庁の方法を紹介することが多いです。
賃貸住宅に住んでいるときは
(7)賃貸住宅でも家具固定はできる?
賃貸住宅では「壁や床や天井を傷つけると原状回復が必要になるのでは」と心配して、シールタイプのものも含めて家具固定をためらう方も多いようです。
確かに、賃借人には原状回復義務があります。しかし、地震対策として行った家具固定が通常損耗の範囲に該当する場合には、原状回復が不要となることがあります。
具体的には、契約書の中で通常損耗の範囲が定められていることがありますので、まずは契約内容を確認してみてください(*1)。
近年では、多くの公営賃貸住宅で安全対策を優先し、家具固定のためのネジ止めも認めている場合があります(*2)。また、民間の賃貸住宅でも、場所を限定してネジ止めを認めるケースや、シールタイプの固定具による壁紙の剥離や床の粘着跡について原状回復を求めないケースもあります。
そのため、最初からあきらめてしまうのではなく、契約書を確認したり、管理会社等に問い合わせてみることをおすすめします。問い合わせたことで、ぜひ家具の対策をしてくださいと話してくれた大手管理会社もあります。
ここまで、信頼できる情報の見分け方や、よくある質問について整理してきました。後編では、これまであまり知られてこなかった地震による室内の死亡リスクと、その対策について紹介します。
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