学校の裁量で授業を増減できる「調整授業時数制度」導入へ、柔軟化は重荷にも?問われるのは組織の成熟度

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だからこそ、裁量は「個人」に任せるものではなく、「組織」で扱うべきです。校長だけでなく、教務主任やミドルリーダーの役割が重要になります。

実際、現場に裁量を求める声は多い。私も賛成です。しかし裁量は、渡せば回るものではありません。国に求めたいのは、次の点です。

・裁量枠の位置づけを明確にし、短期の数値で断罪しない評価設計を整合させること
・「成功事例」だけでなく「試行錯誤のプロセス」も共有できる仕組みにすること
・学校設計を支えるモデル(時間割編成、評価、教員配置)の雛形を提示すること
・裁量を教育委員会や学校現場に丸投げしないこと(裁量の孤立化を防ぐ)

「生のプロセス」の公開が全国の学校の財産になる

サキドリ研究校に期待したいのは「勝ち筋」だけの提示ではありません。むしろ、迷いと葛藤の公開です。どこを削るかで揉めた、評価設計で行き詰まった、保護者説明で悩んだ、合意形成に時間がかかった――こうした生のプロセスこそ、全国の学校の財産になります。

制度が問うているもの「調整授業時数制度」は、単なる時数の増減ではありません。

学校が、基準を守る組織であり続けるのか。それとも、目的から逆算して設計する組織へ転換するのか。数値の揺れを恐れて現状維持を選ぶのか。揺れを引き受けて未来を設計するのか。制度が問うているのは、時間数ではありません。学校という組織の成熟度そのものなのです。

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。
松尾 英明 千葉県公立小学校教員

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まつお ひであき / Hideaki Matsuo

「自治的学級づくり」を中心テーマに千葉大附属小などを経て研究し、現職。単行本や雑誌の執筆のほか、全国で教員や保護者に向けたセミナーや研修会講師、講話などを行っている。学級づくり修養会「HOPE」主宰。ブログ「教師の寺子屋」主催。著書に『不親切教師のススメ』『不親切教師はかく語りき』(ともにさくら社)

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