学校の裁量で授業を増減できる「調整授業時数制度」導入へ、柔軟化は重荷にも?問われるのは組織の成熟度

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教科書を終わらせること、授業時数を満たすこと。こうした基準もまた、大人にとって安心できる「わかりやすい指標」です。しかし、その安心が優先されるほど、授業は子どもの学びよりも「予定どおり進めること」を重視するものになってしまいます。

さらに、この状況を難しくしているのが学校行事です。小学校では運動会や学習発表会などの行事が多く、その準備や練習には相当の時間が必要になります。

その時間の多くは教科の授業時間を使って行われます。国語や算数、音楽や体育の授業時間が、行事の準備に充てられることも珍しくありません。結果として教科の時間は削られます。

しかし一方で、年間授業時数は厳密に管理されています。そのため現場では、「どこかで時間を取り戻さなければならない」という意識が強く働きます。こうして授業は、学びではなく進度を優先する形になりやすくなります。

「調整授業時数」という考え方

こうした状況の中で議論されているのが「調整授業時数」という考え方です。これは学校が年間の授業時数を一定の範囲で調整できるようにする制度です。

これまで小学校では、教科ごとの標準授業時数を満たすことが強く求められてきました。授業時間は基本的に45分単位で編成され、年間の授業時数が不足しないよう厳密に管理されます。

しかしこの仕組みでは、学校や教師が教育課程を柔軟に設計する余地があまりありません。そこで提案されているのが、授業時数を一定の範囲で調整できる仕組みです。以下の3点が実務として効いてきます。

①授業時間の単位(45分固定からの柔軟化)
②教科間・単元間の再配分(重複整理/重点化)
③校内研修や探究的活動など、学びを支える時間の位置づけ
調整授業時数制度とは
(出所)文科省「調整授業時数制度等の具体化について(令和8年1月19日教育課程部会 総則・評価特別部会 資料1)」

では、小学校ではどのような運用が考えられるのでしょうか。

1つの例が、授業時間の柔軟な設計です。先行事例として挙げられているのが、文科省研究開発学校の指定を受けて取り組んだ目黒区の1コマ40分授業などです。

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