北朝鮮・朝鮮労働党大会で女性と軍人幹部が減少した理由、世代交代も進展、金正恩総書記の権力固め進む(後編)
しかし、19年2月のハノイでの米朝首脳会談が決裂し、何の成果もなく終わると、実務を担当した党統一戦線部の幹部は処分を受けた。金与正氏も対米交渉にかかわっていたために党政治局員候補を解任され、党第1副部長から党副部長に降格になった。
金総書記の実妹・与正氏の処遇
しかし、第8回党大会では党書記局に国際担当書記や対南担当書記は置かず、事実上、金与正氏が国際担当書記や対南担当書記の役割を担って来た。その意味では、今回の党政治局員候補、党部長という人事は、ある意味ではかつての地位に復帰したともいえる。
彼女は党部長となったが、どこの部署の部長になったかは当初は不明だった。だが『労働新聞』は2月28日付で、金正恩党総書記が軍幹部や党幹部と会い、贈り物を与えたという記事で「金与正総務部長」と報じ、職責が確認された。党中央委総務部は党運営の行政的な部分を担当する部署で、これまではそれほど重要な部署とは見なされてなかった。ただ、文書チェックなどを通じて党全体を把握できるとみられ、金与正氏は党全体の「無任所部長」的な役割を果たすとみられる。
金正恩党総書記が与えた贈り物は「新型の狙撃銃」だった。金正恩党総書記は「愛するお子様」ジュエ氏を連れて「新型の狙撃銃」を与えた軍人や趙甬元党政治局常務委員、金才龍党政治局常務委員、金与正党総務部長ら党幹部と射撃場で射撃を行った。「ジュエ氏」が狙撃銃で的を狙う姿は、後継者つくりへ向けた新たな演出かもしれないが、十数歳の娘に銃を持たせるのはいかがなものか。
軍部のトップであった朴正天(パク・ジョンチョン)党軍政指導部長や、軍需工業部門のトップだった李炳哲(リ・ビョンチョル)軍需政策担当総顧問(軍元帥)が退場したことで、軍のトップランナーは序列6位の鄭京択氏となった。
鄭京択氏はこれまで軍総政治局長を務めていたが、今回の人事で党中央軍事委員会副委員長、党書記、党部長に選出された。軍総政治局長と党書記、党部長を兼務することは考え難く、軍総政治局長は辞して、党軍事担当書記、党軍政指導部長に就いたのではないかと見られる。党政治局員に起用された金成基氏は党中央軍事委員会の委員にも選出されており、鄭京択氏の後任として軍総政治局長となったと見られる。
軍部の序列は鄭京択党中央軍事委副委員長(党政治局員、序列6位)、趙春龍党軍需工業部長(党政治局員、序列11位)、努光鉄国防相(党政治局員、序列16位)、金成基軍総政治局長(推定、党政治局員、序列17位)、李永吉(リ・ヨンギル)総参謀長(党政治局員候補、序列27位)、李昌大(リ・チャンテ)保衛相(党政治局員候補、序列28位)、方頭燮(バン・ドゥソプ)社会安全相(党政治局員候補、序列29位)という順番になった。
軍人が党政治局常務委員に入らず、党政治局員、党政治局員候補を合わせた党政治局30人中でも比較的下位にいて、金正恩党総書記が核・ミサイル開発を重視しながらも、党内の軍部の地位が比較的下位にあるといえそうだ。





















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