空前の「ブーニン現象」、ショパンコンクール優勝後の熱狂を本人はどう受け止めていたのか/スタニスラフ・ブーニン氏インタビュー(後編)

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「東洋経済」の読者の中にも、私のことをブームの当時知ってくださった方がいるかもしれない。私と同世代か少し上の世代に、ブームがきっかけで真剣にクラシック音楽に向き合うようになって、自分でもピアノやほかの楽器を学び始めた人がいるのを知っています。その中には、60代半ばぐらいの、いまでは私の友人という人も。

多くの人の新たな学びや関心のきっかけになることができたというのはうれしいことですね。

ブームによって多くのことを学んだ

――最高峰のコンクールで優勝し、「天才ピアニスト」と呼ばれ、熱狂の中心に立たれたわけですが、ご自身への評価、ブームへの見方は醒めているというか…辛口なのですね。本当の天才は謙虚ということでしょうか。

「本物の天才」はもう皆さん亡くなって鬼籍に入っておられるので。わからないですよ。本当のところは。

ブームは、私自身にとっても興味深いことでした。私もあのブームをきっかけに、お客様との関係について学ぶことがたくさんありました。聴衆が演奏から何をどう感じているのか、そもそも演奏をどう聴いているのか。ブームは、1人の人間としての学び、音楽家としての学びであり、ステップアップになりました。

スタニスラフ・ブーニン氏。自身の巻き起こしたブームについて冷静に捉え穏やかに語りつつ、その熱狂が多くの日本人にとってクラシック音楽への扉を語るきっかけとなったことを喜ぶ(撮影:今井康一)

――当時、ブーニンさんのファンとしてコンサートに集まっていた人たちの熱や勢いは、映画の中でも確認できます。確かに、ショパンコンクールは日本ではかなり注目度の高いイベントですが、「ブーニンフィーバー」の規模や熱量は別格だった印象もあります。この現象につながったご自身だけの強みがあるとしたら、それはどのようなことだと考えますか。

私のような人はきっとほかにもいます。そして、どんな音楽家にも、「ここだけは誰より勝っている、圧倒している」という部分が間違いなくある。それはとても素敵なことです。

何かの点で人より勝っているという意味では、すべての音楽家がそういう存在なのです。

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