つまるところ、トランプ政権を最初に止めたのは「終身」という身分保障を持つ最高裁であった。今後は議会も徐々に逆らえるようになるだろう。「自分はもう再選を目指さないから」と言って、すでに「無敵の人」になっている議員もいる。このうえ、中間選挙が近づくにつれて、トランプ大統領のレイムダック化は着実に進むことになるだろう。
もうひとつ、すでに支払われた関税の返還はどうなるのか。最高裁はこの件に触れていない。今回の場合は、ニューヨークにあるアメリカ国際貿易裁判所(CIT)で審理されることになるだろう。CITが昨年4月に最初に訴えを受けた際に、5月末には「政府側敗訴」で結審して、「すでに支払った関税の返還」を命じたことを考えれば、どういう結論になるかはある程度は見えている。時間はかかるだろうが、政府側に勝ち目はないということだ。
「対米投資」は正解、さすが「ワルい人」が多い経産省
さて、ちょうどこの判決が出るタイミングを見透かすかのように、2月17日に日米合意に基づく対米投資3件が決まっている。トランプ大統領としては、「お前たちも日本を手本にしてちゃんと投資しろ!」と言いたかっただろうが、違憲判決が出たので欧州などは対米投資を見合わせるだろう。韓国もたぶんしばらく「様子見」するのではないか。
それでは日本政府は馬鹿を見たのか。たぶん違憲判決が出ることは、想定の範囲内だったはず。最高裁判決はIEEPA関税のみを取り上げているので、日本にとって重要な自動車関税など通商拡大法232条を基にする関税はお咎めがないのである。それを値切ることも日米合意の狙いだったから、やっぱり投資は正解だったのではないかと筆者は考える。
最悪、この後で怒り狂ったトランプ大統領が「分野別関税の税率も引き上げだ!」と言い出したときに、日本としては「ウチまで一緒にしないでくださいよ」と言い張ることができる。
あるいは、「日本の関税を引き上げるのなら、追加の対米投資を止めます」と脅しをかけることもできる。何しろ第1陣の投資は全部足しても400億ドル未満。5500億ドル(約85兆円)という全体の枠からいえば微々たるものなのだ。つまりトランプ大統領を相手にするときは、こちらも「ジャパン・ファースト」で対抗すればいいのである。
もっと言えば、日本以外の国の自動車関税が引き上げられて日本だけ据え置き、なんてケースがあるかもしれない。経済産業省という役所は「ワルい」人が多いので、この程度のことはあらかじめ想定済みだと考えますぞ(本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。




















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