「関税違憲判決」が出てもトランプ大統領は意気軒昂、巨額の「日米85兆円投資合意」はこのまま進めてもいいのだろうか

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ともあれ、司法からレッドカードを突き付けられたトランプ大統領は、「新たに2月24日から1974年通商法122条に基づく10%の新関税を課す」と宣言した。そして1日後には「やっぱり15%だ」と言い出した。とりあえず代替関税は10%で発足したところだが、この法律では関税は最長150日間と決まっていて、延長する際には議会の同意が必要である。さて、今から5カ月後にはどうなっているだろうか。

122条関税延長はされず、日本経済にもグッドニュース?

現時点では、議会共和党は大統領に対して恭順の姿勢を示している。これは今年11月に中間選挙があるから、トランプ大統領のご機嫌を損じたくないのである。下手をすれば、今年3月から始まる予備選挙において、自分の選挙区に対抗馬を立てられてしまう。自分の議席が危うくなるから、今はけっして逆らえないのである。

ところが150日後の7月下旬になると、中間選挙の予備選挙はほぼ終了している。つまり議会共和党の面々が、トランプ大統領の脅威を感じなくなっている。だからその頃になれば、大統領に逆らってもオッケーということになる。

ついでに言えば、トランプ関税は国民の評判が悪い。皆が物価高に苦しんでいるのだから無理もない。その意味で、今回の最高裁判決は「渡りに船」でもあった。IEEPA関税が撤廃されて通商法122条による代替関税が導入されれば、中国など高関税地域からの輸入物価は確実に安くなる。だから景気にもプラスに働く。与党の議員たちとしては、代替関税の延長がないほうが自分の再選確率も上昇することになる。

ということで、マイク・ジョンソン下院議長は関税延長を目指す「振り」をするだろう。だが下院での共和党と民主党の議席差はわずかに5つ。3人以上の造反者が出れば関税延長は成立しなくなる。ということで、122条関税の延長はたぶん「ない」だろう。これはもちろん日本経済にとってもグッドニュースということになる。

トランプ大統領にとっては、ほかにも関税をかける武器がないわけではない。74年通商法301条とか、62年通商拡大法232条は既に使っている。30年関税法(悪名高きスムート・ホーリー法)338条という未使用の大型兵器もある。が、これまでIEEPAが使われてきたのは、いちばん「使い勝手がいい」法律だったからだ。それを封じられたことによる打撃は小さくないはずである。

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