御年100歳の元米海軍パイロットで、朝鮮戦争でソ連のミグ戦闘機4機を撃墜したロイス・ウイリアムズ氏を皆に紹介し、その場で名誉勲章を与えたのは、演説フィナーレの直前であった。確かに盛り上がる瞬間ではあったが、ご老人をそれまで2時間も待たせていたのはちょっと酷だったんじゃないか。ここだけは少々いただけない気がしたものである。
さて、一般教書演説には9人の最高裁判事のうち4人が臨席していた。その4日前に、アメリカの最高裁は「トランプ関税への違憲判決」を発出している。年初から「いつ出るのか?」と気になっていたものだが、結局、2月20日であった。
「保守派」であるからこその「違憲判決」だった
出席した4人の判事のうち、トランプ関税を擁護したのはブレット・カヴァノー判事(トランプ大統領が指名)の1人だけであった。ジョン・ロバーツ長官、エレナ・ケイガン判事、エイミー・コニー・バレット判事(トランプ大統領が指名)の3人は反対票を投じている。この日、大統領と視線が合ったはずだが、きっと気まずい瞬間であったことだろう。
違憲判決に関しては、さぞかしキツイ嫌味が飛び出すかと思ったら、トランプ大統領は「とても残念な判決(Very unfortunate ruling)だ」と述べるにとどめた。カメラはすかさずロバーツ長官を捉えたが、白皙の表情は微動だにしなかった。たぶん内心では、「自分は最高裁の権威を守る!」という決意があったものと拝察する。
ご存じの通り、同国の最高裁は「終身」の資格を持つ9人の判事によって構成されている。内訳は保守派6人、リベラル派3人。しかも保守派のうち3人は、ほかならぬトランプ大統領が指名したものだ。にもかかわらず、ロバーツ長官、バレット判事、ニール・ゴーサッチ判事の保守派3人はトランプ関税を「違憲」とした。ゆえに6対3と大差の判決となったわけである。
「保守派最高裁」は、なぜトランプ政権を苦しめる判決を出したのか。これについては、当欄拙稿「米最高裁がトランプ関税に『違憲判決』を下す日」(25年11月22日配信) の予測がほぼ的中していた。相互関税の根拠であるIEEPA(国際緊急経済権限法)という法律は、あまりにも融通無碍に使われていて、法的安定性に無理があった。また、合衆国憲法の定める三権分立の原則を逸脱していた。いわば「保守派(条文主義)であるからこそ、トランプ関税は是認できない」ところがあったというわけだ。




















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