ある日突然「透析患者」に仕事一筋"50代男性"の悲鳴 「気分が悪い」とクリニックに→即入院→透析開始 心が追いつかず…

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患者さんには、自分の仕事や趣味、好きなことをあきらめることなく治療に専念してほしい。病院経営としての収益は少なくても、患者さんの生活の質を第一に考え、積極的に在宅透析を勧めているのはそのためです。

私のクリニックでは、より丁寧な管理が必要とされる糖尿病性腎症の患者さんにも在宅透析を勧めています。もちろんリスクもありますが、患者さんとともに課題を乗り越えながら、よりよい治療環境を目指していきたいと考えているからです。

「患者の意志」「家族のサポート」で在宅透析が実現

実際の導入では、想定外の困難に直面することもありますが、患者さんの強い意志と、ときには思いがけないサポートが組み合わさることで、素晴らしい結果を生むこともあるのです。ここでは、そうした挑戦の一例をご紹介しましょう。

事例1:厳しいと思われた在宅透析も幼い息子のサポートで解決

2010年頃、50代の男性が在宅透析を希望して来院されました。糖尿病から透析導入になり、維持透析(透析を定期的に行う治療)を続けてきた方でしたが、「縛られたくない」という思いが強いようでした。自由業でもあり、どうしても在宅透析に切り替えたいというのです。

在宅血液透析を導入するには一定の条件があります。この方の場合、本人の強い意志はまちがいなくあったものの、一番の問題はサポートできるキーパーソンがいないということでした。

家族は奥様と当時小学校低学年の二人の男の子。奥様がその役割を担えればいいのですが、深夜営業の飲食店に勤めるフィリピン出身の方で、夜はほとんど家にはいないようでした。状況を伺って迷いましたが、それでもどうしてもという本人の熱意に負けて、在宅血液透析の導入を許可することにしたのです。

導入のためのトレーニングや設備の設置など、在宅での透析を始めるためにはさまざまな準備が必要になります。彼は精力的に動き、ダイアライザーという透析の機械を自ら車で運ぶなど、意欲的な様子が見てとれました。

在宅血液透析を導入する医師には、自宅を訪問して環境を確認した上で、指導することが義務づけられています。私も何度かご自宅に伺いました。

あるとき、本人と話しながら透析をしていると、奥様から電話が入り、なぜか私と話したいというのです。ご主人の治療に関する相談かと思いましたが、いきなり「夫が浮気をしていて悔しい」と言うので驚きました。

ずいぶん気性の激しい奥様のようです。突然のことに面食らいながら、なだめるように聞いていると、「夫が若い女の子に貢いで生活費を入れないから、自分が働かないといけない」と興奮気味でした。たどたどしい日本語でとつとつと続き、なかなか終わりそうにありません。

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