なぜトランプ大統領を議会は罷免できないのか、民主的な憲法が独裁者を生み出すという盲点、民主制が持つ大きな欠陥が今、世界を覆っている

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かつてフランスのルイ・ナポレオン大統領(1808~1873年、大統領在任1848~52年)は、再選を認めず辞任を強制する憲法に対しクーデタをしかけ、憲法を反故にして皇帝に上り詰めた。この第二共和政憲法は、大統領の任期を1期に限っていたが、狡猾な大統領は憲法そのものを破壊してしまったのである。

しかしこれは遠い過去の話ではない。同じフランスでマクロン大統領は、自らの首をかけて議会を解散し、その結果政権与党の座を失ったにもかかわらず、あいかわらず大統領に居座っているのだ。

民主主義が機能不全を起こしたのだろうか。それとも、かつてのローマ共和制のように、民主制はその機能の欠陥により独裁を導き出す運命をもつのだろうか。

法と秩序による世界はどうなるのか

ただ今アメリカで起こっている問題は、他山の石ではない。戦後われわれ社会が形成してきた法と秩序による世界がまさに死ぬか生きるかの瀬戸際にいるということなのだ。

トランプが大統領の座を簡単に下りず、戦争などによって緊急事態を生み出して憲法を停止すれば、大統領弾劾など無意味なものとなる。アメリカでの最高裁、議会と大統領の対決は、いま戦後世界の運命を決める天下分け目の天王山であることは、忘れてはなるまい。

的場 昭弘 神奈川大学 名誉教授

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まとば・あきひろ / Akihiro Matoba

1952年宮崎県生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士。日本を代表するマルクス研究者。著書に『超訳「資本論」』全3巻(祥伝社新書)、『一週間de資本論』(NHK出版)、『マルクスだったらこう考える』『ネオ共産主義論』(以上光文社新書)、『未完のマルクス』(平凡社)、『マルクスに誘われて』『未来のプルードン』(以上亜紀書房)、『資本主義全史』(SB新書)。訳書にカール・マルクス『新訳 共産党宣言』(作品社)、ジャック・アタリ『世界精神マルクス』(藤原書店)、『希望と絶望の世界史』、『「19世紀」でわかる世界史講義』『資本主義がわかる「20世紀」世界史』など多数。

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