"SNSでキラキラ発信"授業はおざなり教員、わが子の利益最優先の保護者…学校に出没する「困った人」を妖怪に例える深い訳
仕組みはすぐには変わらない。だからこそ、限界に近づく制度の中で、何を守り、何を手放すか。その選択の質が、校長を「妖怪」にも学校を導く“経営者”にも変える。
若手教員の“強さ”と“脆さ”の正体
若手教員の妖怪で印象的なのが、根拠のない自信に満ち、周囲の助言や注意に耳を貸そうとしない「皇帝漢」だ。高い自己肯定感を武器に突き進むが、実際には周囲の教職員が陰でフォローしていることも少なくない。
一方で、管理職から定時退勤を徹底され、終わらない仕事を自宅に持ち帰らざるを得ない「持ち蛙」もいる。さらに、過度な緊張と慢性的な疲労を抱え続け、ある日突然、糸が切れたように動けなくなる「灰状態」も。真面目な人ほど、その危うさをはらむ。
背景には、「若手教員を取り巻く働き方や育成環境の変化があります」と、立田氏は言う。
「私が新卒の頃は土曜日も授業がありました。でも、今ほど業務は多くなかった。放課後にミニバスケットボールの指導をしながらも、時間の余白があったんです。
今は初任者研修など制度は整っており、“守られる”仕組みはできました。ただ、その分、厳しい指摘や率直なフィードバックを受けながら力を伸ばす経験は減っているかもしれません。“褒めて育てる”環境で育ってきた世代でもあり、否定や強い指摘を受け止める経験が相対的に少ない。そのことが、失敗や批判への耐性を育ちにくくしている側面もあるのではないかと思います」
では、若手が潰れないために何が必要か。
立田氏が強調するのは、「サードプレイス」の存在だ。学校と家庭の往復だけでは、仕事の悩みが世界のすべてになってしまう。
「教員ではない人たちとつながる場を持つことが大切だと思います。サークルや地域活動、異業種交流など教員以外と触れ合う場を持つ。『忙しい』と言いつつ一歩外へ踏み出してみると、それが自分を磨く『面白い場所』に変わり、精神的なセーフティネットになることもあります」
もっとも、若手を取り巻く環境は、外の世界との健全な接点ばかりではない。承認を得る場の1つとなっているのが、SNSでの発信だ。
SNSで自身のキラキラした実践を公開する妖怪「煌煌(きらきら)」は、必ずしも若手に限らない。当人をよく知る教員の間では、「公開している実践は相当に盛られている」「実は毎年のように学級崩壊を起こしている」など、実際の評判は芳しくないこともあるという。





















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