"SNSでキラキラ発信"授業はおざなり教員、わが子の利益最優先の保護者…学校に出没する「困った人」を妖怪に例える深い訳

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研究授業の時だけGIGA端末やワークシートを使う「其之日茸(そのひだけ)」
研究授業の時だけGIGA端末やワークシートを使う「其之日茸(そのひだけ)」(写真:生成AIを利用して立田順一氏作成)

立田氏は著書『妖怪大百科 学校に出没する「妖怪」たち』で、校長や教員、保護者、教育委員会指導主事、さらには制度や学校設備などを妖怪として描いている。描き始めたきっかけは、校長退職後、大学に勤務することになり、通勤時間を使って始めたnoteだった。

「教育現場の出来事を書き始めましたが、ネガティブなことをそのまま書くのは難しい。誰かを傷つけたり、反感を買ったりしかねないからです。そんなとき、大河ドラマ『べらぼう』の表現にヒントを得て、“何かに例える”方法を思いつきました。妖怪なら、トゲのある話もどこか愛嬌が出る。自分らしく伝えられると感じたのです」

立田順一(たつた じゅんいち)東京学芸大学教職大学院特命教授
立田順一(たつた じゅんいち)東京学芸大学教職大学院特命教授/1960年生まれ。横浜国立大学教育学部卒業、放送大学大学院修士課程修了。横浜市立小学校の教諭、副校長、校長、横浜市教育委員会事務局の首席指導主事・教職員育成課長などを経て現職に。専門は学校経営、教師教育、国際理解教育など。25年12月『妖怪大百科 学校に出没する「妖怪」たち』を出版(写真:本人提供)

妖怪というフィルターを通したことで、現場の違和感は“誰かの悪口”ではなく、“共有可能な課題”へと姿を変えた。教育関係者から「うちの学校にもその妖怪がいる」「面白い」といった共感の声が相次いだ。

さらに民間の教育団体からも声がかかり、「学校の妖怪」をテーマにしたオンライン講座の依頼も寄せられた。立田氏が描く妖怪は単なる笑い話にとどまらず、学校組織の構造や課題を可視化するツールとして、静かに浸透し始めている。

なぜ校長パワハラ妖怪が多いのか

本書で多く登場するのが、校長をモデルにしたパワハラ系妖怪だ。

前述した「先生君主」「罵倒観音」、部下の副校長・教頭に対し、書類の誤字脱字、教職員との会話の内容、来校者へのお茶の出し方に至るまで事細かに指摘する「隅突き(すみつつき)」――。そこには、管理職の下で現場が徐々に消耗していく構図が浮かび上がる。

職員室に“王国”を築く校長「先生君主」
職員室に“王国”を築く校長「先生君主」(写真:生成AIを利用して立田順一氏作成)
職員室で若手や部下を大声で叱責する校長「罵倒観音」、部下の副校長・教頭に対し、書類の誤字脱字、教職員との会話の内容、来校者へのお茶の出し方に至るまで事細かに指摘する校長「隅突き(すみつつき)」
職員室で若手や部下を大声で叱責する校長「罵倒観音」、部下の副校長・教頭に対し、書類の誤字脱字、教職員との会話の内容、来校者へのお茶の出し方に至るまで事細かに指摘する校長「隅突き(すみつつき)」(写真:生成AIを利用して立田順一氏作成)

だが立田氏は、こうしたパワハラ系校長を単純に「資質の問題」とは捉えない。その背景にある構造的要因を、次のように語る。

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